ヒューマンライフケア株式会社
ホスピス営業部 ホスピス第一ブロック ブロック長
飯干さん
1988年、神奈川県生まれ。母親が福祉関係の仕事をしていたこと、「おじいちゃん子」だったことから、大学で福祉を専攻。2010年、ヒューマンライフケア株式会社に新卒入社。デイサービスの介護職を経て、生活相談員、営業、拠点長、ブロック長、スーパーバイザーなどを経験。地域密着型サービスにも携わる。2023年からホスピス事業の立ち上げに参画。現在は宮前、町田木曽、登戸の3つのホスピスホームを統括するブロック長を務める。

現在の仕事内容
「その人らしく」過ごせるホスピスホーム
2023年4月、ヒューマンライフケアは、難病や末期がんの方を受け入れる住宅型ホスピス「ヒューマンライフケア宮前ホスピスホーム」を皮切りに、町田木曽、登戸と3つのホスピスホームを開設してきました。これまで私たちは、小規模多機能型居宅介護やグループホームなど、利用者の状態に合わせた介護サービスを展開してきました。さらに医療的なケアが必要になった方々の「受け皿」として、ホスピス事業を始めました。
私は現在、ブロック長として3つのホスピスホームを統括し、施設運営や人材マネジメントを担っています。また、より多くの患者さまを受け入れるため、病院の地域連携室などを訪ね、施設の特徴や空室状況をお伝えしています。

がんの方には苦痛を和らげながら穏やかな最期を、神経難病の方には長期的な生活を支える。病気を「治す」ことが中心となる病院とは異なり、ホスピスは「生活する場所」です。そのため、「その人らしく最期まで過ごしてもらうこと」を大切にしています。「歩きたい」「ベッドから離れて座りたい」「外に出たい」「食べたい」。日々の関わりから患者さまの想いをくみ取り、ご家族の要望も伺いながら、「どうしたらできるか」を介護職、看護師、リハビリ職などが一緒に考えます。一人ひとりが望む暮らしを実現するため、多職種が同じ方向を向いてケアできる環境をつくることも、私の大切な仕事です。
「労働人口減少」という課題との接点
働き続けられる環境をつくる

一つは、介護する家族が働き続けられる環境をつくることです。ホスピスには働き世代の方も入居しており、その配偶者も働いているケースは少なくありません。医療的なケアが必要な家族を自宅で支える負担は大きく、ホスピスという選択肢が「介護離職」を防ぐことにもつながります。
ヒューマンライフケアのホスピスでは、ご家族の面会は24時間365日可能で、仕事の後に訪問したり、宿泊することもできます。赤ちゃんや小さなお子さんはもちろん、居室内ではペットとの面会も可能です。先日は、かごに入った鳥が面会に来ていました(笑)。医療や介護を専門職に任せながら、家族との時間も過ごせる。そんな「もう一つの家」に大切な家族がいる安心感が、仕事を続ける上での支えになるのではないかと思っています。
もう一つは、介護・看護の現場における人材不足です。地域によっては退職者が出ても新たな応募がなかなか来ないこともあり、今いるスタッフが働き続けられる環境づくりが重要です。
その一つがAIの活用です。介護や看護には人の手が必要で、人が接するからこそ生まれる温かさもあります。だからこそ、人にしかできない仕事以外を効率化する。現在は会議の議事録や看護報告書の作成などにAIを活用し、事務作業や残業を減らしています。
各ホスピスホームの施設長と現場の課題を共有し、「どうすればできるようになるか」を考え、働き続けられる仕組みをつくることも大切にしています。
未来につながると実感した瞬間
「ここでよかった」が次へつながる
私自身、大学では福祉を専攻しました。実習で関わった方の笑顔や「ありがとう」という言葉に喜びとやりがいを感じ、介護の仕事を選びました。その想いは、今も変わりません。
ホスピスホームで初めて看取りに立ち会った際、ご家族から「ここでよかったです」と言っていただいたことがあります。人生の最期に関わるスタッフたちは、「これで良いのだろうか」と不安を抱えながらケアをしています。ご家族からの感謝の言葉が、スタッフにとっても「ここで働いていてよかった」という想いにつながっていくのだと感じています。だからこそ、ご家族からいただいた言葉はスタッフにも共有し、次のケアにつなげています。

そして、もう一つ感じることがあります。新規施設の開設時など、採用面接を担当する機会が多くあります。「以前、母がホスピスでとても温かく対応してもらい、自分も働いてみたいと思いました」という方や、知人の家族がホスピスを利用して「良かった」と聞き、応募される方もいます。
私たちのケアは入居者さまだけでなく、そばで見ている家族の心にも残るのです。そして、その経験がいつか、「今度は自分がケアする側になりたい」という想いを生むこともある。目の前の一人ひとりに向き合うケアが、未来の介護を担う人につながっていくのだと感じています。
今後取り組みたいこと
ホスピスホームという「受け皿」を広げる

ホスピスに「看取りをするための場所」というイメージを持つ人は少なくありません。しかし実際には、末期がんの方だけでなく、パーキンソン病やALSなどの神経難病の方が長期間生活する場所でもあります。病院での長期入院が難しく、自宅で家族が看護する負担も大きい。そうしたなかで、医療的なケアが必要な方の新たな選択肢として、ホスピスホームを地域の人や医療機関にもっと知っていただきたいと考えています。
そして、今後の課題の一つが、身寄りのない方の受け入れです。単身者の方や家族と疎遠になっている方など、頼れる人がいないため、身元保証人の問題から退院後の行き先が見つからないケースもあります。
高齢化が進み、家族との関係や暮らし方が変化するなかで、誰がその人の生活と最期を支えるのか。そうした方々にとってもホスピスが安心して過ごせる「もう一つの家」となれるよう、何ができるのかを考えていきたいと思っています。

※2026年9月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・部署名等は取材時のものとなります。