ヒューマンビジネスイノベーション

仕事 2018/07/05 【Business Scope】

人はロボットにできない仕事を!
人材のヒューマンリソシアがRPAを手掛ける理由

ヒューマンリソシア株式会社は2017年10月から、RPA事業を開始しました。RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、ソフトウェア型ロボットによる、ホワイトカラーのPC業務自動化・省力化の取り組みのこと。同事業を立ち上げた岡本哲英と加賀崇利のRPAにかける想いをご紹介します。

岡本 哲英(おかもと・あきひで)ヒューマンリソシア RPA事業本部 企画部 部長

Profile

岡本 哲英(おかもと・あきひで)
ヒューマンリソシア RPA事業本部 企画部 部長
東京都生まれ。2013年ヒューマンリソシア株式会社に入社。人材派遣サービス部門・営業課長を経て、2017年4月に新規事業開発部門に異動、2018年4月より現職。趣味は映画鑑賞。
加賀 崇利(かが・たかとし)ヒューマンリソシア RPA事業本部 運営管理課 課長

Profile

加賀 崇利(かが・たかとし)
ヒューマンリソシア RPA事業本部 運営管理課 課長
千葉県生まれ、2017年ヒューマンリソシア入社。受託業務の運営管理担当を経て、2018年4月より現職。趣味は野球観戦。千葉ロッテマリーンズの応援は欠かせない。

「超売り手市場」の中から芽生えた危機感

RPA事業本部企画部部長の岡本。プレゼンに全国を飛び回る。
▲ RPA事業本部企画部部長の岡本。プレゼンに全国を飛び回る。

2018年6月現在、RPA事業本部企画部部長を務める岡本は、以前は人材派遣事業の営業兼マネジメントを担当していました。しかし、日々の仕事の中で、岡本はこんな危機感を募らせていました。

岡本 「新卒・転職者の就職市場は数年前から『超売り手市場』と呼ばれる状況になり、営業現場でお客様にお役立ちできないケースが出てきました。求人をいただいても人材不足で、ご紹介できる人がなかなか見つからないんです。人材派遣事業そのものは伸びていましたが、今後、日本の労働力人口がどんどん減っていくことを考えると、人以外のかたちでお客様に貢献できるサービスをつくっていかなければいけないのではないか、と感じていました」

2017年4月、人材派遣事業部から新規事業の開発を担当する部署に異動となった岡本は、まず自社が属するヒューマングループが展開する事業・サービスをあらためて見直しました。コアコンピタンス(競合他社に真似できない核となる能力)を明確にするためです。調査の結果、岡本はRPAに注目します。

岡本 「RPAはロボットと見立てたソフトウェアがデータ入力やダイレクトメール送信、情報収集などの定型的な事務処理作業を自動的に行ない、人間の補完として働いてくれることから『仮想知的労働者』とも呼ばれます。ホワイトカラーの人材に強みをもつ弊社が提供するサービスとの親和性が高く、入力ミスの防止など業務品質の向上、業務の効率化など多くの面でお客様に貢献できます。また、ヒューマングループは教育事業を大きな柱としているので、RPAを使いこなせる人材の育成・教育にもサービスを展開できるだろうと考えました」

2017年5月に岡本は新規事業としてRPAを提案。6月から7月にかけて企画化の準備を進め、8月に事業化が決定。8月初旬から日本版RPAツール「WinActor(ウィンアクター)」提供元の株式会社NTTデータとの契約締結に向けて話を進め、9月に業務提携――と、実現に向け一気に走り出します。

「教育のヒューマン」の強みを活かし、RPAトレーニングセンター設立へ

RPA研修カリキュラムをつくりあげた岡本(右)と加賀(左)▲ RPA研修カリキュラムをつくりあげた岡本(右)と加賀(左)

2017年7月に入社した加賀は受託業務の運営管理を行なう部署で働いていましたが、RPA事業化の話を聞き、心躍る思いで一杯になりました。以前からさまざまな企業のオペレーションを目にしてきていましたが、費用対効果が得られないため、システム化を諦めている定型業務が世の中にはごまんとあることを実感してきたからです。RPAは「絶対に導入効果が上がるツールだ」との確信がありました。

加賀 「あまりにうれしくて、まだ正式に事業がはじまる前に、お客様に『近々こんなサービスを提供できる予定です』と話してしまったほど。『それはいいね!』『ぜひ詳しく話を聞きたい』などとお客様の反応もよく、業務改善や生産性向上につながるツールとして RPAのニーズが非常に高いことをあらためて実感しました」

入社間もない8月、加賀は岡本に社内スカウトされるかたちで異動し、岡本の右腕として、RPAのオペレーターや運用管理者を育成する研修カリキュラムの構築に携わることになります。

加賀 「RPAツールの『WinActor』は、プログラミングの知識がなくても日本語で直感的に操作できるのが特長。人間が行なっている作業を自動化させるためのシナリオを作成するには、アルゴリズム的な発想も多少は必要になってくるんです。初めて『WinActor』にさわったとき、ITに詳しくない私には難しさを感じる部分もありました。そこで、教育に強みのあるグループの資産を活かして、初心者にもわかりやすい研修カリキュラムをNTTデータ様と共同開発でつくることにしたんです」

研修カリキュラムの作成にあたっては、「WinActor」提供元のNTTデータや、グループ会社でIT系講座を展開するヒューマンアカデミー、ITに詳しい社員の協力も仰ぎながら、加賀が中心になって約1カ月の短期間で完成させました。

そして2017年11月には東京・銀座に「RPAトレーニングセンター」を開設。2018年1月には大阪に、3月には名古屋と東京・高田馬場にもトレーニングセンターを開設、2018年4月にはRPA事業本部設立と拡大していきました。

RPAの導入から運用までトータルにサポートできる体制を構築

RPAトレーニングセンター。全国に展開しRPA人材の育成を推進
▲ RPAトレーニングセンター。全国に展開しRPA人材の育成を推進

「RPAトレーニングセンター」の開設当初、ヒューマンリソシアでは2020年度末までに5000人の受講者を目指していました。ところが、開設から半年弱の2018年4月時点で受講者は200社1000人を突破。当初計画の2倍に目標を上方修正しました。

加賀 「トレーニングセンターでは初級・中級・上級のカリキュラムを提供しています。前年度に初級を受講された方々がステップアップされて今は中級が一番人気で、1カ月先まで満席の状況。受講者は男性6、女性4の割合で業種や業務は非常に幅広く、30代~40代をメインに、現場で中心的な役割を担っている人が多く受講されています」

東京の中核拠点であるRPAトレーニングセンター高田馬場には2つの教室があり、約10名のスタッフが在籍。彼らは研修インストラクターを務めるとともに、エンジニアとして「WinActor」導入企業へ出向き、RPAの導入サポートや相談対応も行なっています。

加賀 「RPAの活用には、自動化可能な業務の洗い出し、業務改善計画の策定や現場とのすり合わせ、作業フローの確認と自動化のシナリオ作成、RPA導入後の管理、RPAツールを使いこなせる社内人材の育成など、多くのハードルがあります。トレーニングセンターを擁することで、私たちはワンストップで RPAの導入・活用に必要なサービスを提供できるわけです」

岡本 「日本のRPAマーケットは 2016年頃から拡大期を迎え、2017年には大企業を中心に利用が広がりました。その波が全国に波及し、今は地方の企業の間でRPAへの関心が高まっています。そうしたニーズを受けて、今後は北海道や東北、九州など、全国にトレーニングセンターを展開していきたいと考えています」

RPA事業を通して、生産性向上と働き方改革に貢献する

RPAのエキスパートが徹底サポート(RPAトレーニングセンター高田馬場)
▲ RPAのエキスパートが徹底サポート(RPAトレーニングセンター高田馬場)

2018年5月には、NTTデータが国内初となる「RPA技術者検定(WinActor)」を開始し、ヒューマングループも検定の運営等で参画しています。

加賀 「5月下旬、ヒューマンリソシアの派遣登録スタッフ向けにRPA研修を開催したところ、意欲的な受講者が多数参加されました。これからの時代、RPAスキルを自分の武器としてキャリアに活かしたいと考える人も増えてくるでしょう。RPA技術者検定が資格化することで、派遣RPA技術者として働く道も広がっていくと思います」

そしてRPAの導入は、すそ野を広げ、今後どんどん加速していくと考えています。

岡本 「ある顧客企業では、人事担当者が約400名の社員の勤怠記録を確認して残業時間を算出する作業に月2回、毎回4時間ずつかかっていました。それが、RPA導入後は作業時間が1回あたり10分に短縮され、とても喜ばれています。『ロボットに仕事を奪われる』と脅威に感じる人も多いようですが、定型業務をロボットに任せることで、人は人間にしかできない仕事に専念することができます。自動化で浮いた時間・余力ができた人員に、より付加価値の高い、クリエイティブで戦略的な仕事に注力してもらうことが、日本の経済を元気にする原動力になるはずです。私たちは、そうした日本全体と個々人の『働き方改革』に貢献していきたいと考えています」

ヒューマングループでも、2018年6月よりRPAを全社的に本格導入しました。定型的な業務の自動化により年間最大4万1000時間の業務削減を目指し、新たに生み出された時間を営業活動などに割り当てることで時間外労働の削減と業績向上につなげたいとしています。

岡本 「今は、各事業会社から選出されたプロジェクトリーダーを中心に、各社でRPA化できる業務の洗い出しと自動化を進めているところ。RPAは実践することに意義があります。自動化できない業務が出てきたとき、作業工程を根本から見直すことで業務改善のポイントが見つかり、従業員の意識改革にもつながるからです。ヒューマングループの事業には、介護や学校など、まだ世間的にはRPAの導入が進んでいない分野もあります。グループ内での実践をケーススタディーとして、より幅広い業種・業務にRPAの可能性を広げていけると思っています」

教育を母体とする独自の強みをもつヒューマンリソシアのRPAへの挑戦は、今後もますます進化していきます。

※ヒューマンリソシアのRPA事業ウェブサイトはこちら

※2018年6月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。

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