唯一無二のクリエイティブを追求し続けてきた
アーティストの私の「自分らしい瞬間」

唯一無二のクリエイティブを追求し続けてきた<br>アーティストの私の「自分らしい瞬間」

アーティスト

緋咲レイラ

2007年に総合学園ヒューマンアカデミーファッションカレッジを卒業。以降、スタイリストや衣装デザイン、イベントプロデュースなど様々な分野で活躍。2018年には自身で染色・デザインを手掛けるブランド「TSUKUYOMIBLACK」を立ち上げる。その一方で、2012年より母校で教鞭を取り、現在はヒューマンアカデミー動画クリエイターカレッジの常勤講師として後進の育成にあたっている。

スイッチON/OFFを通して「自分らしい瞬間」とは

自分の中にしかないものを発信したことで「アーティスト」と名乗る覚悟ができた

「自分らしさとは?」と聞かれてまず思い浮かぶのが、反抗心のある自分。17歳で渋谷109のショップ店員になり、大好きなファッションの世界に飛び込んだ頃から、世の中の常識や既成概念に対して疑問符を投げかけるような作品を創り出したいと、衣装デザインやイベントプロデュース、作詞など様々なクリエイティブ活動に取り組んできました。

2018年に自分のファッションブランド「TSUKUYOMIBLACK」を立ち上げたときも、色に対する既成概念を打ち壊したい、信じられない色合わせで人々を驚かせたいという思いがありました。けれども、自分の中のどこかに、人々の反応を気にしたり世の中に迎合したりする部分が残っていて、自分のことをアーティストと呼ぶには違和感がありました。

そんなモヤモヤが吹っ切れたのは、2022年の夏フェスでショーを開催してから。このショーでは「世の中にないものを創る」「自分の中にしかないものを発信する」と決めて作品創りに挑みました。自分のすべてを出し切った作品が観客に好意的に受け入れられているのを見たとき、「これからは堂々とアーティストと名乗れる」という自信と覚悟ができました。このショーをきっかけにオファーをいただき、2023年3月にパリコレデビューを果たしました。

2023年3月のパリコレでのランウェイの様子

スイッチONの自分

防水のつなぎとゴム手袋を着け、染色と向き合う瞬間、自分のスイッチが発動する

「TSUKUYOMIBLACK」では、タイダイ染め・藍染め・泥染めで生地の染色から自分で手掛けた洋服を創っています。染色は、そのときの気候や環境、布の状態、染料によって出る色が違い、同じものは二度とできません。染め上がるまでの生地や色の変化をさわりながら見ていると、まるで絵を描いているように自分の中でいろいろな発見があり、インスピレーションが刺激され、デザインのイメージも固まっていきます。私にとって、染色は1回1回が真剣勝負。防水のつなぎとゴム手袋を着けて無心で染色に向き合う瞬間、アーティストとしての自分の中のスイッチがONになります。

スイッチOFFの自分

気の合う仲間と乾杯すると、鎧が脱げる瞬間

シーシャ(水パイプを使用して喫煙する中東の水タバコ)を吸ったり、お酒を飲んだりしながら、気の合う仲間と話している時間が、私にとってスイッチOFFの時間。鎧を脱ぎ捨てて、アーティストでもない、先生でもない、ただの酒好きな姉ちゃんという素の自分に戻れます。撮影で使用した店舗は、私の家族が経営しているお店。シーシャやお酒を楽しみながらリラックスして過ごせる空間を創りたいと考え、内装も自分たちで手がけました。自宅にいるとつい仕事をしてしまったり、あれこれ考えたりしてしまうので、「無」になりたいときは外でお酒を飲むことが多いですね。

これからの「なりたい自分」

これまでの人生は、目標に向かって一心不乱に走り続けてきました。でも、いまは自分のライフスタイルを見つけて、染め物やデザインなどアーティストとして取り組みたいことにも出会えました。あとはあせらず、自分のテーマを一生かけて追求していきたいと思っています。誰かと比べる必要のない、唯一無二の自分自身を探していくことを続けていきたいです。

また、私のもう1つのライフワークとして、ヒューマンアカデミーの講師の仕事があります。講師としては、細かい技術的な話もあるけれども、クリエイターとしての生き方を伝えたい。スランプの乗り越え方や、発想の源として見ておいた方がいい芸術作品やエンタメ作品、クリエイターとしての心構えなどを受講生たちに伝えていきたいと思っています。

緋咲さんが出演した『SWITCH-自分らしくあるために-』はBS-TBS公式YouTubeチャンネルにてご覧いただけます。

https://youtu.be/spKuATIt0hY

※2023年8月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。