【人材】足りないのは、教育の機会。時代が求める派遣スタッフを育成する
~これが私の挑戦

【人材】足りないのは、教育の機会。時代が求める派遣スタッフを育成する<br>~これが私の挑戦

ヒューマンリソシア株式会社 
事業統括本部 統括本部長

向田 真己(Masaki Mukaida)

1998年4月、ヒューマンリソシア株式会社に新卒入社。人材派遣の営業として活躍し、2002年、立川支社長に就任。その後、部長・本部長を経験し、2021年に事業統括本部長に就任。人材派遣事業の責任者として、北海道から沖縄まで全国27拠点の人材派遣事業を管轄する。

私が取り組むSDGs

  • 4質の高い教育をみんなに

    目標4

    質の高い教育をみんなに

  • 8働きがいも経済成長も

    目標8

    働きがいも経済成長も

私が取り組んでいるのは、ヒューマンリソシアに登録し就業先を探している「派遣スタッフ」の方々に対する教育機会の提供です。もっとPCスキルを磨きたい、CADやBIMに関する知識を身に付けたい、プログラミングスキルを習得したい…など、仕事を通じてさらなる成長を目指す派遣スタッフの方々に対し、それぞれに合った“学びの場”を提供しています。
その方法の一つが、グループ会社であるヒューマンアカデミーが展開する教育コンテンツの活用です。既存の講座を割引価格で提供するだけでなく、これから必要とされるスキル習得を目的に新たな講座の開発に着手するなど、時代に合わせたスキルアップを支援。派遣スタッフの方々が、自分らしく、やりがいを持って活躍できるようサポートを続けています。

向き合う社会課題

人材派遣事業とは「優秀な人材を探す企業」と「自身が活躍できる場を探す派遣スタッフ」を、最適な形でつなげていく仕事です。ですから、どちらか一方が満足しているだけでは、決して良い状況とはいえません。企業と派遣スタッフ、双方に満足いただけるベストな就労機会を提供する。ここを目指し、人材派遣ビジネスに取り組んできました。

しかしながら、その需要バランスは常に一定とは限りません。昨今においては、少子高齢化の進行、業界の制度改正、目覚ましい技術革新の加速など、さまざまな社会背景を受け、企業からはこれまでにない“新たなスキル”が求められる場面が増えてきました。結果、派遣スタッフにとっては就業先の選択肢が限られるケースも少なくありません。思うように仕事が見つからない、自分に合うキャリアが描けない…そんな派遣スタッフの声を耳にするたびに、もどかしい気持ちになり、私たちが“双方が幸せになる就労機会”を実現しなければならないと感じるようになりました。

解決に向けた取り組み

解決に向けた取り組みで、最も重視したのは「企業と同じ視点に立ち、業界の未来を考えていくこと」でした。 業界を成長させていくには今後、どのような人材、どのようなスキルが求められていくのかについて、真正面から向き合い、何度も議論を交わしていく。ビジネスパートナーとしてではなく、業界の発展を目指す同志として、業界の課題に取り組んでいく。その上で、必要なスキルに応えられる人材を育成し、派遣する仕組みづくりを考えていったのです。

中でも私たちが注力したのは、「BIMオペレーター」の育成です。近年、建設業界ではICT化が加速し、建築物の設計ソフトである「BIM」を使える人材がほしいと要望をいただいたのですが、そのスキルを持った派遣スタッフが少なかった…。であれば、私たちが「BIMオペレーター」を育てていこうと考え、他の人材会社サービス会社に先がけて学びの機会を設けることにしたのです。結果、これまで約400名のスタッフの育成に成功。企業と派遣スタッフ、互いに良い就業機会を生み出せたと感じている実例です。

確かな手応え、見えてきた成果

先ほどお伝えした「BIMオペレーター」だけでなく、「RPA*エンジニア」「医師事務作業補助者」など企業に求められる人材育成に注力する中で、一つ印象に残っているエピソードがあります。

ある派遣スタッフの方で、私たちが提供する「RPA*エンジニア」の研修を受けた方がいらっしゃいました。「RPA*エンジニア」とは、定型事務作業を自動化するRPAというITソリューション活用を推進する人材として、多くの企業からニーズが高まっている職種の一つになります。その方は、約140時間のカリキュラムを丸1ヵ月かけて受講し、「RPA*エンジニア」のスキルを習得。一部門の事務職からRPAエンジニア、現在はさらに領域を広げ、部門を超えて企業の業務改善・自動化を進める主要メンバーとして活躍するまでになりました。学びの場を有効に活用し高いスキルを身に付け、結果、就業先で多くの方に頼りにされているのだと分かり、とても嬉しく感じた出来事でしたね。

また、企業からは、いい人を紹介してくれて本当に助かっている、この先いなくなったら困るなどの声をいただくケースが増えてきています。言うまでもなく、企業の成長には優秀な人材が必要不可欠です。だからこそ、私たちの取り組みが、企業のさらなる発展を支えているのだと確かな手応えを感じられています。

*RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、ソフトウエア型ロボットによる業務自動化の取り組みのこと。「仮想知的労働者(Digital Labor)」とも言われ、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を担います。

私が目指す未来

これまで「BIMオペレーター」「RPAエンジニア」など、自動化・効率化を実現する人材の育成に力を入れてきましたが、個人的には、その領域はまだまだ足りていないと感じています。これから労働人口が減少していく日本では、これまで以上に年齢を横軸に世の中のニーズを縦軸に“求められる人材”について考え、多くの「教育の機会」を提供していかなければならないと考えています。企業と派遣スタッフをマッチングする視点だけではなく、時代に求められる人材へと育てていく。その思考が、今後ますます重要になっていくのだと捉えています。

そしてそれは、企業だけでなく、派遣スタッフにとっても価値ある体験へとつながるでしょう。周りから頼りにされることでやりがいを感じたり、今まで以上に大きな仕事を任されたり…。もしかすると、派遣から正社員への道が拓けるかもしれません。これこそが、真の意味での「キャリア形成の支援」だと思うのです。育成型の人材派遣を通して、豊かな仕事人生を歩む人が一人でも多く増えてほしいと願っています。

※2021年11月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものです。