【人材】日本の“働きにくさ”を調査。グローバル人材の労働環境を変える~これが私の挑戦

【人材】日本の“働きにくさ”を調査。グローバル人材の労働環境を変える~これが私の挑戦

ヒューマングローバルタレント株式会社 
事業推進室 プロダクト&マーケティング課

岩木 理恵(Rie Iwaki)

音楽・エンタメ業界にてWebディレクター、編集・ライターとして活躍。メディアのコンテンツ企画編集、アーティストへの取材・記事制作などを手掛ける。2017年、ヒューマングローバルタレント株式会社入社。外資系・グローバル企業の転職・求人サイト『Daijob.com』、グローバル企業の人事向け情報サイト『HR club』のコンテンツ制作を手掛けると同時に、広報も兼任。幅広い業務に従事する。

私が取り組むSDGs

  • 8働きがいも経済成長も

    目標8

    働きがいも経済成長も

  • 10人や国の不平等をなくそう

    目標10

    人や国の不平等をなくそう

私がオウンドメディアの運営担当・広報担当として積極的に取り組んでいるのは、日本で働くグローバル人材の雇用や働き方に関する情報発信です。
日本の労働人口減少を背景に、ビジネスフィールドが海外へと展開していく中において、グローバル人材はなくてはならない存在。今後ますます求められていくことは言うまでもありません。そこに対して、ヒューマングローバルタレントが運営する外資系・グローバル企業の転職・求人サイト『Daijob.com』には、累積600,000人以上のグローバル人材が登録。そのうち外国籍ユーザーが半数近くという特性を活かし、ユーザーに対するアンケート調査を実施し、“日本で働くグローバル人材”が抱えているリアルな声を収集しています。定量的なデータと共にそのリアルな声をレポートとしてまとめ、コンテンツやニュースリリースとして発信することで、企業のグローバル化・グローバル人材の活躍に役立つ情報を世の中に広く伝えていきたいと考えています。

向き合う社会課題

このような情報発信をはじめたきっかけは、今から数年前、『Daijob.com』のサイトを運営する上で、ユーザーがどのような情報を求めているか、仕事に対してどのような考えをもっているかなどを把握するためのアンケートを実施したことでした。

そして、そのアンケート結果から見えてきたのは、グローバル人材が抱える痛切な思いです。日本ならではの価値観・文化の中で、もがき苦しみながら、日々葛藤している…。誰にも伝えられずにいた“日本の働きにくさ”がそこにはありました。

そして、アンケートのフリーコメントで印象的だったのが、ある外国籍ユーザーから寄せられた「このような調査をしてくれてありがとうございます」「ここでは書ききれないほど伝えたいことがあります」という言葉です。どこかに本音を伝えたいけれど、それさえできずにいる。もちろんその声が企業に伝わることはなく、グローバル人材が我慢するしかない現実を目の当たりにし、この声を広く伝えていかなければいけないと強く思うようになったのです。

解決に向けた取り組み

こうした出来事をきっかけに、まだまだ深く知られていない「日本で働くグローバル人材の雇用・就労の状況」について情報発信していくべく、定期的なアンケート調査を実施することにしました。そして、これまで「転職時に知りたい企業の情報」「コロナ後の仕事に対する意識変化」「企業のSDGsへの取り組みに対する意識」など、さまざまな切り口で調査を行ない、リアルな声を含めたレポートを作成してきました。その結果は、ニュースリリースとして発信。他メディアでも取り上げられるよう工夫を重ねています。

また、このような取り組みを行う中で、日頃グローバルな環境で働いている私自身も改めて気付かされることや、新しい調査テーマの発見につながることがたくさんあります。

たとえば、一般的に外資系・グローバル企業は能力主義で性別問わず活躍しやすいイメージがありますが、まだまだ日本では根強く女性の働きにくさが残っていたることが分かったり、グローバル企業であっても、日本ならではのコミュニケーションの取り方に多くの外国籍の方が苦労していたり…。企業のグローバル化やグローバル人材の活躍を支援していく立場として、改めて身の引き締まるような思いがします。

また、以前調査した「英語力と年収の関係性について」では、興味深い結果が出ました。特に50代女性においては、国税庁調査の女性平均年収と比べて、ビジネスレベルの英語力があれば約2.2倍(369万円)の年収差があることが分かったのです。女性のキャリアを考えていく上でのヒントが見えた調査になったと感じました。今後、女性をはじめとしたグローバル人材のキャリア形成について、より貢献できる調査を実施したいと思っています。

確かな手応え、見えてきた成果

私がアンケート調査を通じて大事にしていることは、2つあります。1つは、最初にお話した日本で働くグローバル人材の声を世の中に届けること。もう1つは、グローバル人材がアンケートに答えたり、調査レポートを読んだりする機会をつくることで、その方々自身の気持ちがクリアになることです。上手く言えずにいた気持ちに向き合う時間、モヤモヤを整理するきっかけになったら、こんなに嬉しいことはありません。

ですから、アンケートに「本音を書くことができてスッキリした」といったコメントをいただけたときは、素直に喜びが感じられる瞬間です。先日は、社内で働く外国籍の方から「日本で働く中で、自分でもうまく言葉にできずにいた気持ちを抱えていたけれど、リリースされた調査結果を見て、自己理解を深められた」と話をしてくれました。これは本当に嬉しかったですね。自身がやってきたことが間違いではなかったのだと手応えが感じられる出来事でした。

私が目指す未来

最近では、アンケート調査・情報発信を重ねていく中で、他社から共同でアンケート調査をしましょう、という依頼をいただくようになりました。『Daijob.com』の登録ユーザーが回答してくださるアンケートは、フリーコメントが充実しており、他社の方からは「ここまで多くの言葉が書いてあるアンケートは珍しい」とおっしゃってくださいました。活動の場を広げることで、これまで以上に、影響力のある情報発信ができるのだと大きな期待を寄せています。

そして、その先に私が目指す未来は、日本で働くグローバル人材の働く環境を改善していくことです。お互いに理解を深めていくことで、日本だから、外国だから…という壁をとっぱらい、国籍問わず一人ひとりが仕事に誇りを持ち、誰もが豊かな人生を送ることができる。そんな日本社会になることを願っていますし、微力ながら、その貢献をしていきたいと思っています。

※2021年10月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものです。