ずっと日本に恋してきた平成2年生まれのフランス人の私が<br>日本で見つけた「日本文化の世界への発信」に貢献できる仕事
My Life

ずっと日本に恋してきた平成2年生まれのフランス人の私が
日本で見つけた「日本文化の世界への発信」に貢献できる仕事

ヒューマンアカデミー株式会社
海外商品企画部 企画/プロモーション

ヴァランタン・デフォセ

フランス北部、シャンパーニュ地方のランス市出身。子どもの頃から日本の文化や歴史、精神性に憧れを抱く。大学では日本学を専攻し、在学中に日本への旅行を経験。大学卒業後、米IT企業に就職し、テクニカルサポート担当として約1年間アイルランドのコーク市で勤務。2017年に来日。約1年半にわたり、淡路島で地方創生プロジェクトに携わる。2019年7月、美容系会社に転職し、海外事業とマーケティングを担当。2021年4月、ヒューマンホールディングス株式会社に入社し、海外事業を支援するグローバルサポート室(現:グローバル推進室)に勤務。2022年1月より現職。フランスにある欧州初の日本のマンガ・アニメの専門校「ヒューマンアカデミー ヨーロッパ」の運営サポートなど海外商品開発・企画・プロモーションに携わっている。

「なりたい自分像」と日本

子どもの頃からずっと日本に恋していた。
日本の素晴らしい文化の発信に貢献したい

子どもの頃、何かのきっかけで日本という国を知って以来、ずっと日本に憧れて続けてきました。日本のポップカルチャーの中でも私が特に大きな影響を受けたのは、小島秀夫監督のゲーム『メタルギアソリッド』や、押井守監督のアニメ『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』、『隠し砦の三悪人』『蜘蛛巣城』をはじめとする黒沢明監督の映画作品です。キャラクターやストーリー、世界観の構築が素晴らしく、エンターテインメント性を追求しながらも、難しいテーマや哲学的な内容にもふれていて、深く考えさせられるところが共通点だと思います。

けれども、私が特に惹かれていたのは、昔ながらの日本の伝統的な文化や精神性です。日本の工芸品、和装、そして日本人の美的感覚やセンス、繊細さ、考え方、世界観や価値観、礼儀作法やマナーといった、手でふれることができないものに強く憧れていました。母が若い頃に座禅をやっていたので、その影響もあるかもしれません。

自分用に柄もこだわって仕立てた浴衣。

「将来、日本と関係がある仕事ができたらいいな」と思い、大学では日本学部を専攻しました。大学での勉強や日本への旅行を経験し、日本でしか学べないことを通して自分をより磨き、日本に対する理解をより深めながら、日本の素敵な文化を世界に発信することに貢献できる人になりたい、という思いが強まりました。日本がなければ、いまの自分は存在していなかったといっても過言ではないほど、日本は私の人生で大きな存在です。日本の文化の発信に貢献できれば、多くのことを教わった日本に対する恩返しができると思っています。

実際に日本の企業で働くということ

海外在住の外国人にとって日本企業は狭き門。
チャンスを掴み、次につなげていくことが大事

海外在住の外国人が新卒で日本で就職することは、そう簡単ではありません。私も新卒時は日本での就職先が見つからず、まずは英語圏で働こうと考え、アイルランドでIT系の仕事に就きました。来日のチャンスを得たのは、その1年後のこと。世界から若者を集め、淡路島で地方創生に取り組むプロジェクトがあることを知ったのです。世界中から500人が応募し、採用は30人という狭き門でしたが、幸運にも合格して来日。『古事記』で「日本で最初に生まれた島」と紹介されている淡路島で、島の活性化や現地の方々のために活動することは、とてもやりがいを感じました。

現在、ヒューマンアカデミーでの仕事も、私がやりたかった「日本文化の発信」に取り組めていると感じています。「ヒューマンアカデミー ヨーロッパ」のサポートを通して、日本のマンガ文化を母国フランスで発信することに貢献できるのは、やりがいがあります。また、逆のパターンになりますが、e-Sportsカレッジでは、世界の一流プロチームのコーチや選手を講師に迎えたオンライン特別講義に関わっています。最初のアプローチから締結、講義の実施まで私が携わっており、この活動を通じて日本の次世代のeスポーツプレイヤーたちに夢を持たせ、その将来に少しだけでも貢献できているのではないかと感じています。

実際に日本で働いてみて、日本人は何事もきちんと計画通りに行動するイメージがありましたが、臨機応変を求められる場面も多く、「思い描いていた日本人のイメージと違うな」と思うこともあります。ただ、どこでどんな仕事をするにしても、一番大事なのはコミュニケーションです。私はフランスにいた頃、1人でいるのが好きなタイプでしたが、日本に来てから社交的になりました。日本人に興味があり、いろいろな人と関わりたいからです。日本人の側も、外国人が相手だとオープンに話してくれて、意見交換がしやすい。コミュニケーションがうまく取れていることが、仕事のやりやすさや創造性の発揮につながっていると感じます。

これからの「なりたい自分」とは?

もっと深く日本を知り、仕事面でもスキルアップして
仕事でもプライベートでも日本と世界をつなぐ人になりたい

仕事に関しては、もっとスキルアップしたいですね。これまで身につけたスキルを活かしながら、新しいスキルを学び、日本で働く外国人として、ヒューマングループの海外活動により高いレベルで貢献できたらと思っています。

プライベートでは、やはり日本をもっと堪能したいです。日本国内のいろいろな土地を訪れたいですし、博物館や美術館で日本の美術工芸品にふれたり、職人さんに教わりながら実際に自分でやってみるような文化体験的なことにも挑戦したい。いろんな人と交流して、もっと人脈を広げたいと思っています。また、日本語・英語・フランス語とは別の言語を勉強したいなと思っています。ずっと思っていて、まだ何もやっていませんが、韓国語かロシア語に挑戦してみたいですね。人生は予定通りいくとは限りませんが、ずっと日本にいたい。大好きな日本に、できれば永住したいと思っています。

日本・日本人への興味関心は深まりもっと交流したい
フランス北部にある地元のランス市
大きな影響を与えてくれた日本の作品たち
国内旅行でも印象的だった日本の自然 京都大原
熊野古道・那智の滝の神秘的な雰囲気がお気に入り
離れて暮らす両親から二十歳の時にもらった指輪は肌身離さず身に着けている

※2024年8月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・部署名等は取材時のものとなります。