ロボット製作の面白さを子どもたちに伝えたい―
大学院生活とロボット教室講師を両立し成長するための5ルール

ロボット製作の面白さを子どもたちに伝えたい―<br>大学院生活とロボット教室講師を両立し成長するための5ルール

法政大学大学院 理工学研究科 
電気電子工学専攻 修士1年

塩山将英

もともとプログラミングやロボットに興味があり、高校進学後、母の勧めでヒューマンアカデミージュニアロボット教室多摩落合教室(現:多摩センター駅前校)に通い始めました。そこで出会ったのが、ロボカップジュニアのサッカーリーグです。これは、1チーム2台のロボットを参加者が自らの手で組み立て、自律制御でサッカー競技を行う大会。1年間で完全自作を目標にロボット製作に取り組み、大会に出場したものの、結果は23チーム中9位。ロボット製作の中でも特に苦手だった電気を勉強するために、大学進学を決意。進学後は、ロボット教室からのお誘いで講師業もスタート。現在は、平日は大学院で永久磁石の計測を自動で行うシステムの開発を行うかたわら、土日はロボット教室で小中学生への指導をしています。

「なりたい自分」をつくる5ルール

高校時代、ヒューマンアカデミージュニアロボット教室でロボット製作に取り組んだことがきっかけで、電気電子工学の道に進むことを決めた塩山将英さん。現在は、大学院での研究とロボット教室の講師という二足の草鞋を履きながら、自身が興味のあることに全力で取り組んでいます。やりたいことに次々と挑戦し、多忙な毎日を力にして乗り切るために、塩山さんが大事にしている5つのルールがあります。

① 大変なときこそ全力で取り組む

大学では、研究や学会、試験など“山場”がたくさんあり、同時に重なることもあります。例えば、去年11月には学会が2つ重なり、ロボット教室の方でもロボカップジュニアの東京神奈川地区予選会があり、夏頃から学会の準備とロボット製作の指導で平日も土日もフル稼働でした。複数が重なってしまうと、非常に忙しくなり大変ですが、私はこれをチャンスと捉えて、すべてに全力で取り組むようにしています。「全部やりきる」ことが自分にとって必ずプラスになると思いますし、どんなに辛いことでも、一度乗り越えられれば、次の挑戦をする自信にもなります。

② スキマの時間を活用する

自宅から大学までは往復3時間かかります。この時間を無駄にしないためにも、大学に入学して以来、移動中はネットでニュース記事を読んだり、興味のあることを調べたりしています。例えば、電車の中であれば、乗り換えまでの時間が決まっているので、それまでに記事を読み切ろうという考えになり、はかどります。また、歩いている時間も、行きはスケジュールを立て、帰りはその日に学んだことを復習するように心がけています。スキマ時間を有効活用することで、学業や研究に加え、自分が興味のあることに取り組む余力が生まれます。

③ 1人で考える時間をつくる

人と話すことで、自分と他人とのギャップに気づかされたり、新たな知見を得られたりするので、普段から幅広い分野の人とコミュニケーションを取るように心がけています。しかし、1人でいる時間も同じくらい大切だと考えています。頭の中を整理したり、集中力を高めたりするには1人の方が良いので、1人で考える時間を持つようにしています。1人の時間として特に気に入っているのが、散歩です。街中を散歩するといろいろな刺激を受け、新しいアイデアが生まれやすいですし、自然の中を歩くのも、考えをまとめたりするのにいい。帰りに寄り道をしたりして、散歩を楽しんでいます。

④ 趣味をたくさんつくる

私は、モノづくりだけでなく自転車やバイク、料理など、趣味がたくさんあります。趣味をたくさん持っていると、相乗効果が起きやすいです。趣味が研究に役立ち、研究での経験でさらに趣味が広がりますし、趣味を楽しむ中で他人との交流が生まれ、新たな人脈ができることもあります。幅広いことに興味を持ち、今いる環境に合わせて、忙しい中でも何かしらの趣味を楽しむようにしています。

最初に作ったロボットと現在製作したロボットはすべての素材を1から考案。
あらゆる趣味の知識や知見がロボット製作にもプラスになる。

⑤ まずは何でも挑戦してみる

大学やロボット教室では、新しいことに挑戦する機会が多々あります。例えば、大学ではアプリの制作に関わってみたり、ロボット教室ではロケットを飛ばす企画の運営の手伝いを頼まれたりしました。お誘いがあれば、積極的に挑戦するようにしています。失敗することもありますが、その経験が後になって活きることも多々あるからです。

そもそも大学入学後、ロボット教室の講師になることも、私にとっては大きな挑戦でした。最初の1~2年は慣れないことだらけで苦労しましたが、今は子どもたちを教えるのがとても楽しくて、自分にとってもたくさんの学びや発見があります。これからも、失敗を恐れない姿勢を大切にしていきたいと思っています。

今後の展望

まだまだ技術者としては半人前で、毎日が勉強や試行錯誤の繰り返しです。この先も努力を重ねて技術を習得し、自分だけのロボットを作っていきたいです。大学院終了後は就職し、メーカーでエンジニアとして働きたいと考えていますが、できれば就職後もロボット教室との関わりは持ち続けたいと思っています。ロボット教室での活動を通して、自分の知識や経験を次の世代へ伝えていきたいです。将来は、自分のロボット教室を作り、研究をしながら子供たちに教えられるような生活が送れたら理想的ですね。

※2022年12 月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。