新生eスポーツプロリーグ界において20歳で
プロゲーマーの夢を叶えた5ルール

新生eスポーツプロリーグ界において20歳で<br>プロゲーマーの夢を叶えた5ルール

Human Academy CREST GAMING
Identity V(第五人格)
LEADER / SURVIVOR

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中学・高校時代はバスケットボール部に所属し、子どもの頃から大好きだったゲームとバスケ漬けの日々を送る。高校卒業後、スポーツトレーナーを育成する専門学校に入学するが、19歳のとき、プロゲーマーの夢を叶えるために中退。オンライン対戦ゲーム「Identity V(第五人格)」のチームの一員として活動。多くの大会で実績を挙げ、20歳でプロゲーミングチーム「MWs」に所属。2021年5月、ヒューマンアカデミーのeスポーツチームCrest Gaming(現 Human Academy CREST GAMING)と契約。「Identity V」のリーグ優勝を目指して活動している。

「なりたい自分」をつくる5ルール

当時まだ業界としても職業としても立ち上がり始めたばかりの日本のeスポーツプロリーグへ、進んでいた進路を投げうって「なりたい自分」を目指す道を選択したからこそ、取り組んだこと、大切にしたルールがあります。

①「行けそう」と思ったら迷わず進む。

「Identity V」は高校生の頃からプレイしていました。19歳のとき、知人から「プロを目指しているチームに入らないか」と誘われたのをきっかけに、「このゲームに本気で取り組んでみよう」と決意して専門学校を中退しました。親は理解を示してくれたけど、学校の先生からは大反対されました。当時は「Identity V」のプロ選手はまだ存在していなかったし、プロゲーマーという職業自体、よくわからないものだと思われていたので、当然でしょう。

でも、プロになるには、大会でいい成績を残して実力をアピールし、企業などから声をかけてもらうしかない。学校に通いながらでは無理なんです。僕は学生時代から「ゲームを仕事にできたらいいな」と夢見ていました。「目標に近づけるタイミングは今しかない」と思ったから、先生に「プロゲーマーになります」と宣言して学校を辞めました。「行けそう」と思ったら迷わず進む。そして、目標達成のために真剣に打ち込むことが、夢を叶えられるかどうかの境目だと思います。

②味方に文句を言わない。

アマチュアの頃の僕は、チームの仲間によく文句を言っていました。「あの場面であの判断はないだろう」などと、正論で相手を詰めていくタイプで、仲間内で「暴言厨」と呼ばれたこともあったほど。でも、プロになってからは自覚を持ち、味方への文句は一切なくしました。チーム内でメンバーの考えが衝突したときも、冷静に話し合って解決策を提示するように努めています。

「Identity V」は、1人のハンター(敵を追う側)と4人のサバイバー(逃げる側)で行われる鬼ごっこゲーム。僕はサバイバーで、チームリーダーでもあります。サバイバーは、プレイングスキルに加え連携面が大事。サバイバー同士の意思疎通を図る意味でも仲がいいほうがいいので、みんなが気軽に話しやすい雰囲気づくりを心がけています。

③スマホにフィルムやケースは付けない。

ゲームも、SNSや通話もすべてスマホを使っています。今、愛用しているのはiPhone 11。日本発売時からずっと、もう3年も使い続けています。

僕は、スマホの画面にはフィルムを貼らず、本体ケースも使いません。ゲームの操作感が変わってしまうからです。画面はバキバキに割れて、本体も傷だらけですが、やっぱり愛着はありますね。

商売道具とも相棒ともいえるスマートフォン

④食欲がなくてもちゃんと食べる。

シーズン中は最低でも1日5~6時間は「Identity V」をプレイしています。僕は夢中になると時間を忘れてしまうタイプで、食事もどうでもよくなってしまう。ろくに食事をとらずにゲーム漬けの生活を続けていたら激やせしてしまったことがあり、「これじゃヤバい」と反省。以来、食欲がなくても食事はきちんととることにしています。

「Identity V」のランクマ(オンラインで行われる段位別ランク戦)は1日3回、朝(5時~)昼(13時~)夜(20時~)に開催されており、深夜12時過ぎまで練習することも多いので、どうしても生活リズムが乱れてしまいます。普段は夜に入浴しますが、試合の日や外出の予定のある日は必ず、朝にも風呂に入ります。目を覚まし、気持ちをリセットするために欠かせないルーティーンになっています。

⑤ファンとは一定の距離を置く

試合会場まで応援に来てくれたり、SNSにメッセージを送ってくれたりするファンの存在は、すごく励みになります。ファンのみなさんの期待を裏切らないためにも、プロとして自分の言動に責任を持たなければいけないと感じています。ファンとの距離が近すぎて、友達感覚になってしまうのはちょっと違うと考えており、観る人に「おもしろい!」「すごい!」と感動してもらえるようなゲームプレイをすることが、僕たちの仕事。僕の発言やふるまいで、Crest Gamingのチーム全体やプロゲーマー自体のイメージを悪くしてしまうことがないよう、気を付けなければいけないと思っています。

今後の展望

将来はストリーマー(eスポーツの実況・解説者)として、プレイヤー視点からeスポーツの楽しさを伝える仕事にも挑戦してみたいですね。僕が「Identity V」を始めた頃は、日本のeスポーツ界はまだ草創期で、プロゲーマーなんて夢のまた夢だと思っていました。でも、これまでの人生で一番長く取り組んできた一番好きなことはゲームだったから、夢だからと諦めるのではなく挑戦しようと決めました。そして、夢を実現しようとすることでチャンスも生まれるとわかったから、次のステージに向けても迷わず進める自分になれたと思っています。

※2022年7月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。