介護の現場で働くベトナム人技能実習生が
日本で「なりたい自分」を目指すための5ルール

介護の現場で働くベトナム人技能実習生が<br>日本で「なりたい自分」を目指すための5ルール

ヒューマンライフケア株式会社 ヒューマンライフケア宇奈根グループホーム
介護技能実習生

グエン・ティ・ハー・チャン

ベトナムの国立ダナン大学医学薬学部で、看護学を専攻。大学2年生のとき、日本で介護職員として働く友人からさまざまな情報やアドバイスをもらい、日本の介護に関心を持ちました。いろいろと調べていく中で、ベトナムに比べ進んでいる日本の介護に驚くとともに、自分の学んだ知識が役に立つと思い、来日を決意。日本語の勉強を始め、大学4年時にヒューマンライフケアの外国人技能実習生採用試験に合格。大学卒業後の2020年2月に来日し、研修を経て3月から神奈川県川崎市のヒューマンライフケア宇奈根グループホームで介護スタッフとして働いています。

「なりたい自分」をつくる5ルール

文化も言葉も違う環境でも「日本の生活が合っている」と笑顔で話す裏で、ベトナムで学んできたことを活かしつつ日本の介護を吸収しようとする姿勢で常にいること、そのために日々意識していることがあります。

①とにかく深呼吸、一笑

人生にはさまざまな出来事が起き、驚き、緊張、怒り、不安、落胆といった感情に襲われて、どうすればよいのか迷ってしまうこともあります。そんなときは、とにかく深呼吸し、一笑。深呼吸をして笑顔を作ると、ひとまず気持ちが落ち着きます。そうやって気持ちを整えてから、落ち着いた姿勢で一歩ずつ前に進んでいきます。

②日本とベトナムの架け橋のような存在になる

ベトナムでは家族が介護を担うのが一般的で、日本のような入居型の介護施設はまだ少ないのが現状です。また、看護と介護の区別が明確ではなく、看護師が仕事の一部として介護をおこなったり、家政婦の人が家事のお手伝いの中で介護のお世話をしていることも多いです。けれども近年、ベトナムでも介護施設が増えており、それとともに介護に関心を持つ人が増えています。中でも特に注目されているのが、日本の介護です。日本の介護をベトナムに伝える架け橋となることを目指して、実習期間を通して努力を続けたいと考えています。

③今日の自分よりもっと良い自分を探す

変えることができるのは世界ではなく、自分自身です。ですから、他人の意見を批判したり、相手のせいだと思うよりも、自分の間違った点を探して改善することが大事です。絶え間なく変わっていく世界を生きるために、今日の自分よりもっと良い自分探しを続けたいと思います。

④「すべては練習の中にある」

これは「サッカーの王様」と讃えられたブラジルのプロサッカー選手・ペレさんの言葉です。私も、新しく始めることに対して一度、二度でできなくても、諦めずに練習を積み重ねたら、きっとできるようになると信じています。その一方で、自分が学んだ知識についても、練習を通じてより活かしやすくなると思います。コツコツと練習を重ねることで、できないこともできるようになるし、今できることはもっと上達します。日本語も、介護の知識や技術も、そうやって日々の練習を大事にしながら学んでいます。

最初は1か月の献立表を基に素材や調理方法について勉強し、今では日々の献立の説明もバッチリ

⑤活気のある雰囲気を作る

私は大学時代、ボランティアサークルで副会長を務めていました。サークル活動では、みんなが楽しく参加できる雰囲気づくりを大切にしていました。

介護の場では、高齢者自身の健康を維持し、社会参加を促進するような環境づくりが重要だと感じています。グループホームで日々ご利用者様と接する中で、笑顔や明るい態度、面白い話などを通じて、新鮮で活気のある雰囲気をご利用者様に差し上げたいと思っています。

今後の展望

私は今、日本の介護福祉士の資格取得を目指して勉強しています。今後も日本の介護現場で経験を積み、将来は日本で学んだことを活かして、ベトナムに日本の介護を伝えるために尽力したいと思っています。日本の介護の素晴らしい点は、何もかもお世話するのではなく、できないことだけを手伝い、要介護者を尊重し、自立を支援することです。ベトナムも今後、高齢化が進み、介護が必要な高齢者が増えていきます。日本の介護の素晴らしさを伝える架け橋として、母国の役に立ちたいと願っています。

※2022年8月に取材した内容に基づき記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。