同じ職場で働く年子の姉妹がそれぞれ違う仕事と人生経験を歩む中で
手に入れた5ルール

同じ職場で働く年子の姉妹がそれぞれ違う仕事と人生経験を歩む中で<br>手に入れた5ルール

ヒューマンホールディングスには、2人の「本木さん」がいます。姉の温子さんは法務のエキスパートで、妹の里奈さんは海外事業を支援するグローバルサポート室に勤務。
業務上でも法律的な相談することが多く、とても頼りになる存在だと話す妹・里奈さん。
その里奈さんからの相談を受けて今後の法務部門の在り方を考えるようになった姉・温子さん。
お二人の起こす「ケミストリー」を感じる5ルールをご紹介します。

ヒューマンホールディングス株式会社 総務部法務コンプライアンス課
アシスタントマネジャー

本木温子(姉)

大学・大学院で法律を専攻し、前職では法務業務をメインに総務・人事関連の業務も広く行っていました。今後のキャリアを考え、法務の専門職として活躍したいと思い、転職を決意。持ち株会社でグループ全部の法務業務に携わることができる点に魅力を感じ、2015年にヒューマンホールディングスに入社。現在はホールディング・海外法人・教育・IT分野のグループ会社の法務を担当。産休育休を経て2022年5月に復職しました。

ヒューマンホールディングス株式会社 管理本部グローバルサポート室
アシスタントマネジャー

本木里奈(妹)

大学では国際教養学部に所属し、業界は異なりますが、前職から一貫して海外事業に携わってきました。転職時にちょうど、ヒューマンホールディングスで海外でのM&A案件が進んでおり、そのサポートポジションの人材募集があり、姉が勤務する「ヒューマンホールディングス」だったので興味を持ったのが入社のきっかけです。アウトプットしながらインプットできる環境(自分の力・資質を活かしながら、新しい経験値を積み上げられる仕事)を希望していたため、挑戦しました。2018年に入社し、一度地元に転職して再度ヒューマンホールディングスに戻ってきました。

「なりたい自分」をつくる5ルール

姉妹それぞれ得意分野も性格も違いますが、仕事と人生で大切にしている5つのルールを尋ねると、不思議と共通点が浮かび上がってきました。お二人のルールには「事実」「本質」と言葉は違えど同じ軸が存在し、お互い違うアプローチであれ同じ軸で仕事もプライベートも共有共感している姿が。

【姉:温子さんの5ルール】

①「事実」を確認する

これは、入社当時から上司に言われ続けている言葉です。トラブルの相談や契約書の作成時には、常に「事実」は何なのかを意識して確認しています。

例えば、仮に「講座申込をした方から『思っていたのと違うから全額返金してほしい』と言われた」という相談があった場合、「顧客の言う『思っていたのと違う』とはどういう意味か」という部分を詳しく確認します。

その顧客が単純に想像していたものと違っているのか、それとも営業担当者がおこなった説明と実際の講座内容に食い違いがあったのか、パンフレットやサイトの表示が間違っていたのか……など、「思っていたのと違う」には、いくつもの可能性があります。

この可能性を精査し、事実に即した法的判断や解決策を提示するために、「誰が」「何を」という事実を聞き取るようにしています。

②対立を恐れず話をする

事業部門と基幹部門はそれぞれの役割が違うため、両者の意見が合わないことがあります。このとき、対立することを避けて、うやむやにしたり、妥協したり、諦めてしまったりすると、後々トラブルが起きたり、会社に大きな損害が出たりすることもあります。

私たち法務の立場からは、事業部門の考えに対して、「こんなリスクがある」と伝えて軌道修正をお願いしなければいけない場面もあります。ただ、むやみに反対しているわけではなく、「会社の利益」という最終的な目標は、事業部門も基幹部門も同じです。意見が合わない場合は、相互に言い分をきちんと主張して、お互い納得のいく、よりよい形で実現していけたらいいなと思っています。

③神は細部に宿る

これは、ドイツの近代建築家ミース・ファン・デル・ローエが残した言葉だそうです。契約書の確認・修正や作成には、時間がかかることもあり、集中力が続かないときもあります。注意力散漫になってしまったとき、この言葉を思い出して、気を引き締めて取り組むようにしています。

④やりたくないことから考える

やりたくないことはなるべくやりたくないので、どうしたらやらずに済むのかを考えます。既存のアプリやツールで代替する、その作業をなくすなど、いろいろ試しています。

これが、結果的には業務改善や作業の正確性向上につながることもあるんです。例えば、かつて法務では契約書の変更点や事務作業で前日との変更点を目視で確認する方法をとっていましたが、Wordの「比較」機能やExcelの数式を活用することで、速く正確に処理したり。そんな風に、やりたくないことをやらずに済み、なおかつ仕事の質の向上につなげていける解決策を発見できると嬉しいです。

⑤よく寝る

クリアな頭で仕事に向かうには睡眠が大事なので、可能な限り睡眠時間を取るようにしています。夜11時半までには就寝できるように段取りしていますが、子どもが夜泣くこともあるのと、朝も6時前には起きるので、睡眠時間は6時間くらい。できれば7~8時間は寝たいので、常に眠い(笑)。そこで、出勤時も昼休みには10~15分はお昼寝の時間に充てています。午後の仕事が始まる13時まで、自分のデスクで枕に突っ伏して寝る。短時間の昼寝でも、すっきりリフレッシュできます。

昼休みお昼寝用グッズであるクッションにはデスクに引っ掛けるための輪ゴムの工夫も。

【妹:里奈さんの5ルール】

①本質を極める

何をするにしても、何か1つ軸があると、物事を考えやすくなります。あらゆる業務において、「これは何のためのタスクか?」「この先に何があるのか?」と、本質を考えるようにしています。常に本質、原点に立ち戻ることで、途中に発生する迷いや面倒な忖度、外からのいろいろなノイズも自ずとクリアになります。

本質を重視する考え方は、私と姉の共通点だと思います。仕事やプライベートのことで姉に相談に乗ってもらうと、よく「それって結局どういうこと?」と聞かれます。その一言で、自分がブレていたことに気づかされる。得意分野や性質が異なる一方、考え方は非常に似ていて、とても頼れる相談相手です。

②適材適所

海外事業は国内事業に比べて少人数のため、各スタッフがいくつかの仕事を兼務せざるを得ず、職務範囲が広くなります。そのため、その人ができることとやるべきことがマッチングしていないと、うまく回りません。私自身は現在採用・ポジショニングの業務を行っていませんが、一緒に働く仲間の能力やバックグラウンドをよく考えて、その仲間が適材適所で最大限力を発揮してもらえるような環境づくり、サポートを心がけています。

③職人は目指さない

私は、ひとつの技を磨き上げる職人ではなく、職人たちが最高に活躍できるよう、環境を整えたりチームを組織したりするポジションに就きたいと考えています。そのためには、人を見る目はもちろん、マネジメント力や渉外交渉力、戦略的思考など幅広いスキルと経験が必要です。まだまだ道半ばですが、これからもっと経験を積み、適材適所を判断し実現できるような人になりたいと考えています。

④時差は気合で乗り切る

海外とやりとりをしていると、必ずついて回るのが時差の問題です。向こうに合わせて早朝にミーティングが入ったりと、大変なこともありますが、頑張って早起きするなど気合で乗り切るしかありません。重要な記録や締め切り期日などについては、後で混乱しないように日本時間と現地時間の両方を記入することにしています。

⑤家族第一

私にとって家族は、仕事以上に大切な存在。仕事に全力投球し、多少無理をした後は遠慮なく休んで、家族と過ごす時間を充実させます。わが家は両親、妹、私、姉の5人家族で、お互い離れて暮らしていますが、家族仲はかなりいいと思います。私が今同居している大事な“家族”が、愛犬のフィリックス(愛称「フィー」)。とてもかわいくて、最高の癒しを与えてくれます。先日、フィーの2歳の誕生日には家族全員がオンラインで集まり、バースデーパーティーを開きました。

家族を想い仕事に集中するためデスクには愛犬フィーちゃんのいつもの表情の写真を。

今後の展望

温子さん

今の私たちの法務業務は、紛争を未然に防ぐための予防法務や、実際にトラブルが起きたときの解決を図る臨床法務が中心です。今後はこれらに加え、新規事業や新法人の設立、M&Aなどに法的な専門知識や知見からアドバイスする「戦略法務」を強化していきたいと思っています。また、ヒューマンには、すでにいろいろな制度や仕組みがありますが、それが十分に周知されておらず、うまく機能していない面もあります。法務だけでなく、経理・財務・グローバルサポート室といった他の部署とも連携して、これらの制度や仕組みが機能するようにしていけたらと考えています。

里奈さん

ヒューマングループにおける海外事業は、今も一進一退。撤退判断の基準や新規事業進出の基準、また、その基盤となる組織づくりが弱いと感じます。これからもっとたくさん経験を積み、この「海外事業の基盤づくり」に貢献していきたいです。具体的には、海外事業全体の進退戦略や、それを実行するためのベースづくりをリードする部署・ポジションに就きたいと考えています。

※2022年8月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。