PT.HUMAN CITA ANANDA(インドネシア法人)及びHuman Star Child (MALAYSIA) SDN. BHD.(マレーシア法人)カンパニープレジデント
YURIKO DELVITA BAMBANG(ユリコ デルフィタ バンバン)
インドネシア国籍。在日公館に勤めるインドネシア人の両親のもと、東京で生まれ育つ。短期大学で経営学を専攻し、在学中の2011年、東日本大震災で祖国に一時帰国。初めてインドネシアで暮らすことを経験し、自分が思っていたよりも語学ができなかったことを悔しく思い、翌年からインドネシア語を学ぶことを決意する。短期大学卒業後、語学学校を経てインドネシア教育大学に編入学、社会教育学部観光経営学を専攻し、2016年9月に卒業。2017年、ヒューマンリソシア株式会社に新卒入社。東京本社にて人材派遣の営業と、海外ITエンジニアを国内企業に派遣するGIT営業部の業務をそれぞれ2年経験後、社内公募制度を活用し、2021年4月にヒューマンホールディングス株式会社グローバルサポート室(現:グローバル推進室)に転籍。同年12月よりインドネシア保育法人で現地責任者として駐在開始。2024年4月よりインドネシア及びマレーシア保育法人のカンパニープレジデントを務める。
「なりたい自分像」と日本
「日本で生まれ育ったインドネシア人」という経験を活かし、
両国の架け橋となり、人と人をつなげる仕事をしたい
父親の仕事の関係もあり、常に2カ国間の国交が近い存在だった私は、幼少期から「インドネシアと日本の架け橋になる」「人と人をつなげる仕事をする」ことが、将来のなりたい自分像でした。旅行会社や商社なども一時は検討しましたが、自分の経験やバックグラウンドを活かせる場所で仕事をしたいという考えにシフトして就職活動を行いました。
日本で生まれ育ったインドネシア人の私は、幼少期から母国語とは違う言語を学び、母国とは違う文化や風習にふれながら、日本の学校教育を受けて成長してきました。インドネシアの方や他国籍の方が日本で暮らすときに抱く不安面や悩みに対して、自分の経験を持って伝えられることが、私ならではの強みだと考えています。ヒューマングループを就職先に選んだ理由は、日本企業で働きながら、インドネシアに関わることができると思ったから。現在はインドネシアに駐在し、日本式保育を提供する保育園「ヒューマンスターチャイルドインドネシア」と「ヒューマンスターチャイルドマレーシア」の運営法人の代表を務めています。日本式保育の素晴らしさは、友だちや保育士と過ごすことで社会性や自立心が育まれ、挨拶や食事中のマナーといった生活の基本的な習慣が身につくこと。そうした日本式保育のよさをインドネシアやマレーシアの人々に実体験を持って伝えることができ、また現地の保育士やスタッフの国民性や日本との文化・風習の違いを理解した上でコミュニケーションを取れることが、私の最大の強みだと思っています。保育事業を通じて「インドネシアと日本の架け橋になる」「人と人をつなげる仕事をする」という意味では、「なりたい自分像」は達成できています。
実際に日本の企業で働くということ
日本とインドネシアでは部下育成・指導面で大きな違いがある。
国民性の違いを理解した上で現地スタッフと接することが大切
日本の企業は研修制度がしっかりしており、入社後早い段階からビジネスの基本を習得することができます。これは、私が日本企業を就職先に選んだ理由の一つでもあります。実際に働いてから感じたのは、日本企業は人事評価制度が明確だということ。頑張った分、評価されるのはどの国も同じですが、外国企業では評価の基準や評価の対象となる事柄が曖昧な部分もあります。私自身、インドネシアに赴任してから自社の人事評価制度の整備を行いました。
インドネシアやマレーシアの人々と働く上では、日本との国民性の違いに配慮することが重要です。例えば、部下に指導する際は、人前で叱らない。インドネシア人やマレーシア人は、人前で叱られると大きな侮辱を受けたと感じてしまうからです。そのため、何か問題があるときは、個室で1on1ミーティングをして指導しています。また、こちらの人々は「ゴム時間(=ジャム・カレット:ゴムのように、伸び縮みする時間の例え)」と呼ばれるほど、ゆったりとした時間感覚を持っています。渋滞で遅刻が当たり前と言われていますが、社内では「時間を守る」「時計を見る」ことを徹底させており、高品質な保育サービスを提供する上で基本になると伝えています。
インドネシアやマレーシアの人々のよい点は、いつもニコニコしていて、細かいことは気にしない点。おかげで社内の雰囲気がよく、コミュニケーションも良好です。私はもともと人と話すことが大好きで、プライベートでも「人と人をつなげる」ことを学生時代からよくやっていました。インドネシアで暮らすようになってから、日本にいた頃以上に人脈が広がりました。人と人との距離が近く、友だちになるスピードが速い環境だなと感じています。
保育事業を軌道に乗せて、その経験を
他の海外事業にもつなげていきたい
私のキャリアプランとしては、現在は達成率50%くらいでしょうか。自身のバックグラウンドや経験を活かす仕事をしているという点では達成していますが、保育事業の海外展開はまだ始まったばかり。コロナ禍を経て2022年4月に再スタートをしたインドネシア・ジャカルタの保育園は園児7名でスタートし、現在では定員の62名に。マレーシア・クアラルンプールの保育園は24年7月に開所し、園児募集中です。今後はジャカルタとクアラルンプールに保育園をドミナント展開し、東南アジアを中心にさらなる拡大をしていくことが目標です。当面はインドネシアとマレーシアの保育事業を軌道に乗せることに注力したいと考えていますが、将来的には、いまの経験を持ち帰り、ヒューマングループの海外事業に貢献できたらいいなと考えています。
プライベートでは、人と人をつなぎ、人の輪を広げることを自分自身の楽しみとしても続けていきたいです。インドネシアとマレーシア、そして日本を行き来する現在の生活は、忙しいですがとても充実しています。休日には友人を集めて、ジャカルタとクアラルンプールの社宅のバーベキュー場でBBQパーティーを開催するのが定番。日本に出張した際は、在日インドネシア人や日本人の友人と会ったり、インドネシア関係のイベントに参加することも。さまざまな人たちと関わりながら、自分の世界を広げていきたいですね。
※2024年10月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・部署名等は取材時のものとなります。