平均寿命から逆算すると、人生の3分の1を迎える「27歳」。社会で経験を積んできたけど、まだまだ一人前とは言い切れない……そんな揺れ動くこの時期をどう過ごしたのか。ヒューマンプランニングで働く安東 司の「27歳」を追いました。さて、あなたは、どんな27歳を送っていましたか?
力を込めて、重い扉を開く

▲B1リーグ大阪エヴェッサのチーム運営全般をする当社。僕は「おおきにアリーナ舞洲」の施設管理をしています
「おおきにアリーナ舞洲」の手すりって、重いんですよ。
メインアリーナのフロアから可動席を出して、そのあと可動席と2階席を連結させるために2階席の手すりを外すんですけど、これがめちゃくちゃ重いんです。
この作業がかなり重労働。
メインアリーナ自体、固定席が4000席超もあるので、いつもなら可動席は使わないんです。
ただ、大阪エヴェッサの試合だとか、ライブイベントの時は観客が多いので出すことになる。これがあると1500席くらい増席できるんです。
大仕事ですから、筋力も体力も必要です。
僕は、前に町民が利用する規模の体育館管理をしていたんですが、おおきにアリーナ舞洲は規模が違いますから、ここの仕事をするようになってから、腕回りの筋肉がかなり付きました。
大阪エヴェッサの試合なら、バスケットボール・リングを出して、あとの設営は興行側の人にバトンタッチ。仕事が終わったら自宅で趣味の読書をして、明日の仕事に備える。
そんな日々です。
裏方の、さらに裏方、みたいな自分の仕事が、そこそこ気に入っています。
27歳でフリーター。人生迷子の中で見つけた「運」論

▲新入社員のときに作らされた印鑑は、転職などの節目にそばにいる感じですね。左右対称の書体が珍しくて、お気に入りです
好きなゲームに関わる仕事がしたいなと思って、大学卒業後に専門職大学院に入って、そこでプログラミングを学びました。
初めて入社した会社で配属されたのは、企業のシステムに関わる部門。勉強になることも多かったんで、自分としてはかなり頑張っていたんです。
でも、人間関係でかなり疲弊してしまって……。それでスパッと退職することに決めたんです。
「27歳」はちょうどそんなとき。フリーターでしたね。
「コツコツやるのが向いているんじゃないか」と両親に言われ、公務員試験を受けたりもしていました。
といっても、何が何でも公務員になりたかったということもなく、試験を受けてみたら何かあるかなあといった感じで。やりたいことも特に見つけられていなかったですし。
強いて言うなら、人生迷子だったかな(笑)。
公務員試験はダメでしたけど、家族が自治体の委託業務をしている会社を紹介してくれて、そこで体育館管理の業務に配属されました。とりあえずやってみたら働きやすかったので、3年くらい働きましたね。
そのあとに、ひょんなことから今の仕事を知り、ヒューマンプランニングに転職。
今年で6年目ですか。今の仕事が一番長く続いていますね。
なんていうか、思うんですよね。人生とか、仕事選びって、運なんじゃないかなあって。
そこの環境に適応できるとか、どんな人と出会えるのかとか。仕事選びならそもそも、自分が求職しているタイミングで募集をしているのかとか、仲間と反りが合うかとか。
そういうのは縁もあるとは思うんですけど、たぶん全部が運ですよね。
身軽に生きたい。選んだライフスタイルはミニマリスト

▲前職のとき。ミニマリストなので、当時を思い出せるものってこの証明写真くらいしかないんですよね
それまで割とネガティブな性格だったこともあって、最初の仕事をやめたときに、「何が悪かったんだろうな」とか「もっと頑張れたのかもしれない」とか、自分の中でずっと反芻してたんです。
でも、その後に出会った職場の人に「運だって思えばいいんじゃない?」とアドバイスをしてもらったときに、ストンと腑に落ちて。
もちろん、次への扉を開けるために行動するのは自分自身なわけですけど、それによって生じた結果も含めて運なんだと思うと、かなり楽になったんです。
迷いがなくなりました。
自宅からおおきにアリーナ舞洲までは、1時間30分くらい。この通勤時間に本を読んでいるので、大して苦にはならないですね。
小説から漫画まで雑多なんですけど、年間100冊くらいは読むかな。
よく読んでいるのは歴史モノですね。こんなことがあったかもしれないとか、こんな人がいたのかもしれないとか、事実と物語が混在していたりするじゃないですか。
証拠がないのでフィクションなんですけど、日本史の見方が変わるような本に出合えると嬉しくなります。
電子書籍で読むことも多いです。「デジタルだとページをめくる感覚がないので嫌」という人もいますけど、自分は気にしないです。むしろ場所を取らないので好都合ですね。
本もそうですが、できるだけ所有物を少なくするようにしています。ミニマリストっていうんですかね。
実家の改修のタイミングで、いらないものをかなり減らしました。服は一週間分あればいいなと思って7着ほど持っているだけなんですけど、まだ減らせると思ってます。
モノが多いのは自分に合わないです。スパッと切って、身軽に生きるのって楽ですね。
“鍵”は自分が持っているから

▲大阪エヴェッサのスタッフさんやイベント会社さんなどと連絡を取り合って、確認、調整、準備。運営はその繰り返しです
アリーナ使用の申し込みが入ったら、事前に日時や用途、用意するものをヒアリングします。一般の利用は、とくに念入りに確認しますよ。
イベント当日に「やっぱりあれが必要だ、これも準備して欲しい」となるとバタバタしてしまうので、そうならないようにかなり注意が必要ですね。
大阪エヴェッサの練習がある日は、チーム練習なのか、前後に個人練習はあるのか、冷暖房は必要なのかなど、マネージャーさんと確認し合うことも多いです。
実はしゃべりベタで、本当は話すのが苦手なんですけど……場数を踏んで慣れてきましたかね。
試合やイベント後は、撤収が待っています。大阪エヴェッサの試合があるときはモニターで随時様子を見ながら、試合の延長があるか、試合後のインタビューなどの状況はどうかを確認しつつ、観客が帰ってから興行側の片付け作業を待ちます。
最終的に戸締りをして、終わり。
サマーソニックのような大掛かりなイベントの時は、夜通しの撤収になることもあります。朝出勤してくる仲間に「おはよう」と挨拶して、「この時間までかかったんだ、お疲れさま」と労われて帰る。
今の職場は仲間が本当にいいです。スタッフは5、6人ほどなんですけど、一緒に食事に行ったり麻雀をしたりして。人間関係って、鍵ですよね。だから今の仕事を続けられているんだと思いますし。
少し前に、予約制度のシステムを更新しないといけないタイミングがあったんです。それまでは、いちいち使用料の計算をしないといけないので不便だったんですよ。
僕自身、PCの知識はあったので、表計算ソフトを使ってデータをまとめて、「こんな具合にやったらいいんじゃないか」と提案したんです。そうしたらかなりスムーズになりました。
みんなも喜んでくれて、2019年度の優秀社員賞に推薦してくれて。
自分はもちろん、一緒に働いているみんなも働きやすくなるように業務改善はしていきたいなと思っていたので、嬉しかったですよ。
これまでを振り返っても、賞をもらったのなんて、学生時代の皆勤賞くらいでしたからね(笑)。
大阪エヴェッサの順位は、常に気にします。他の予約状況との調整だったり、試合の準備をしたりと、運営にも関わってくるんで。
B1リーグの順位で上位に入るとチャンピオンシップがあって、そうなると、おおきにアリーナ舞洲でのホームゲームの可能性が出てくるんです。
この仕事をしていると、スポーツ好きだとか熱烈なエヴェッサファンだとか思われるかもしれないですが、意外とそこまででもなかったりして(笑)。
ただ僕みたいに、「仕事は仕事」と割り切っているヤツがいたほうが、現場としてはいいんじゃないかって思ってるんです。
こうして縁をいただいた仕事を、粛々とこなす。
そこに心許せる仲間がいることが、今とても幸せだなぁと思いますね。
すべての人が自分らしさをみつけ、いきいきできる社会をつくりたい。
ヒューマングループは一人ひとりの「SELFing」を応援します。