B.LEAGUE B1所属 大阪エヴェッサ
プロバスケットボールプレーヤー
牧 隼利
1997年12月14日生まれ。身長188㎝。埼玉県出身。海外の選手にも当たり負けしない強いフィジカルと、コートの状況を瞬時に判断する高いバスケIQが持ち味。福岡大学付属大濠高校時代はウインターカップで2度の準優勝を経験。2014年の明成高校との決勝戦、4Q残り1分を切ったところでダンクに行くも現在NBAロサンゼルス・レイカーズで活躍する八村塁にブロックされたシーンは名場面として今でも語り継がれている。筑波大学時代は4年生時にキャプテンとしてチームをインカレ優勝に導く。牧個人としてはそれまで全国優勝を手にしていなかったため、この勝利が「自信になりました」という。大学卒業後はBリーグ琉球ゴールデンキングスに入団。SG(シューティングガード)として活躍し、2022-23シーズンの初優勝に貢献する。2024年に大阪エヴェッサに移籍。得点を取るSGだけでなく、ゲームをコントロールする司令塔PG(ポイントガード)の役割も担うコンボガードとしての活躍が期待されている。

なりたい自分像
チームのカルチャーを築く軸になりたい
2024年に琉球ゴールデンキングスから大阪エヴェッサに移籍するにあたっては、『チームを優勝に導く軸になる。チームを勝たせられるような選手にならなきゃいけない」と思いました。藤田弘輝ヘッドコーチからお話をいただいたときに、そうしたイメージと覚悟を持つことができたのが移籍を決断した大きな理由です。
これまでの自分のバスケットボール人生を振り返ると、福岡大学付属大濠高校、筑波大学、琉球ゴールデンキングスと、すべて高いベースがあるところに僕が入り、流れに乗っていたような感覚があります。頼りがいのある先輩や中心となる選手がいて、その中でいろいろな役割を任せてもらったことで成長した部分もたくさんありますが、例えていうと、大企業の一員として働いているという感じでした。
一方、大阪エヴェッサは、いい意味でベンチャー企業というイメージです。2024-2025シーズンも本当に良いことも悪いこともありましたが、少しずつ着実に積み上げてカルチャーを築いている感じで、その中で僕が軸となり大阪エヴェッサの未来に少しでも力になれたらと思っています。今は、練習や試合をするたびに出てくる課題に取り組むことが自分の刺激にもなっています。
昨年、日本代表合宿に呼ばれたことで注目されることもありますが、今は大阪エヴェッサでどれだけ存在感を見せてチームを勝利に導けるかにフォーカスしています。その結果、日本代表に選出されたら、戦力として認められたということなので、すごく光栄だなと思います。
なりたい自分になる「仕事」の位置付け
トライアル&エラーを繰り返しながら
バスケットボールに向かい合う
シーズン後半に、チームはチャンピオンシップ進出に向けての大事な試合をクロスゲームの末に落としています。勝負所で僕がシュートを決め切れなかったりミスしたりと、自分自身にすごく腹立たしさがあります。何点取ったとかアシストを何本したかというスタッツ(スポーツの試合において、選手やチームのプレー成績を数値でまとめたもの)は気にしていないのですが、さらにステップアップしていくには、そうしたクラッチタイム(勝敗が大きく左右される競った場面)で勝利を手繰り寄せるプレーができるかどうかが重要なので、意識してトライしていきたいと思っています。
高校、大学時代はもちろん、Bリーグに入ってからも周りには上手い選手ばかりで、その中でどう生き残っていくかを常に考えてきました。試合でダメだったプレーを思い出し、その課題を克服するにはどういう練習やトレーニングが必要なのかを自分なりに考えて行動に移す。トライアル&エラーを繰り返してきました。考えられることが自分の強みであり、考え過ぎてしまうことが弱みでもあるのですが、これまでそうしてバスケットボールに向き合ってきたので、これからもあまり悲観的にならずに、このスタイルを貫いていけたらいいなと思っています。そして、観ている人が応援したくなるようなプレーヤーでありたいとも思っています。
これからの「なりたい自分」とは?
日々生きがいを感じながら過ごす
カッコいい40歳になっていてほしい
今年、チームメイトの竹内譲次選手が40歳になられたのですが、すごく元気で、チームで一番ハッスルしたプレーをされていて信じられません。今の僕には、自分が40歳になったときに現役選手としてバスケットボールをプレーしていることは、フィジカル的にもメンタル的にも想像できないというのが正直なところです。
ただ、バスケットボールに関わる仕事をしていたいとは思っていて、コーチに興味があります。プレーヤーだからこそ分かることがあると思いますし、僕は自分で考えていろいろなトレーニングや自主練をするのが好きなので、もしコーチになったら「こういう練習をすると面白いんじゃないか」「このトレーニングは効果があるんじゃないか」というアイデアはどんどん出てくるほうだと思います。
あと40歳の僕にお願いしたいのは、カッコいい生き方をしていてほしいな、ということです。スポーツ選手って現役のときはカッコいいじゃないですか。でも引退して、競技から離れると覇気がなくなったりすることがあるように感じます。選手でなくなっても、今と同じくらいの熱量を持ってバスケットボールに取り組んで、日々試行錯誤しながらも、生きがいを感じながら過ごすことができている40歳になっていてほしいと思っています。
※2025年4月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。チーム名称等は取材時のものとなります。