厚生労働省が民営職業紹介事業者の運営状況をまとめた「2018年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」が今年3月31日に発表されました。今回は、この報告書と同じく厚生労働省がハローワークでの就職動向をまとめた「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」から、建設技術者の転職動向について、有料職業紹介所とハローワークを比較分析します。
■建設技術者の転職件数、2018年度は有料職業紹介所がハローワークを上回る
有料職業紹介所とハローワークの建設技術者の転職者数の推移を比較してみると、2014年度には有料職業紹介所が6,235件、ハローワークが15,660件とハローワークが圧倒的に多くなっていました(図表①)。しかし、その後ハローワークは減少傾向が続く一方、有料職業紹介所での就職件数は増加を続け、2018年度には有料職業紹介所が13,650件、ハローワークが10,836件と逆転しました。
【図表① 建設技術者の転職者数の比較】
出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書」「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」より作成
■ハローワークの建設技術者の新規求職申込件数は減少、有料職業紹介所は一気に増加
次に建設技術者の新規求職申込件数の推移を比較してみると、ハローワークでの新規求職申込件数は2014年度の41,217件から年々減少して、2018年度には31,843件と1万件近くも減少しています(図表②)。一方、有料職業紹介所の新規求職申込件数は2014年度の64,105件から一気に増加して、2018年度には115,469件に達しています。
【図表② 建設技術者の新規求職申込件数の比較】
出典:厚生労働省「職業紹介事業報告書」「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」より作成
このように建設技術者の転職件数も新規求職申込件数も有料職業紹介所がハローワークを上回るようになり、建設技術者の転職チャネルの中心はハローワークから有料職業紹介所に移ったと言えそうです。
建設業界の最新雇用関連データ(2020年4月28日総務省・厚生労働省公表)
(1)建設業の就業者数・雇用者数・新規求人数
◆建設業の就業者数は512万人(前年同月比100.6%)、雇用者数は415万人(同100.7%)となり共に増加した。
<建設業の就業者数と雇用者数の推移>
出典:総務省「労働力調査」より作成
◆公共職業安定所(ハローワーク)における新規求人数は68,055人(同94.3%)と3カ月連続で前年同月を下回る。
<建設業の新規求人数の推移(新規学卒者とパートを除く)>
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成
(2)建設技術職の雇用動向
◆建設技術者数は41万人(同110.8%)となり前年同月比で大幅に増加。
<建設技術者数の推移>
出典:総務省「労働力調査」より作成
◆ハローワークにおける建築・土木・測量技術者(常用・除くパート)の有効求人倍率は2カ月連続で低下し、前年同月よりも0.40ポイント低い6.11倍となった。
◆有効求人数は前年同月比91.6%、新規求人数は同95.7%となりともに3カ月連続で前年を下回り、建設業各社の求人意欲は低下傾向が続く。
<建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)>
<建築・土木・測量技術者の雇用関連指標の対前年同月比(常用・除くパート)>
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成
(3)建設技能工の雇用動向
◆ハローワークにおける建設・採掘の職業(常用・除くパート)の有効求人倍率は、前年同月比0.15ポイント低下して5.22倍となり、58カ月ぶりに前年同月を下回った。
◆有効求人数は前年同月比90.6%、新規求人数は同95.8%となり、ともに3カ月連続で前年を下回り、建設業各社の求人意欲は低下傾向が続く。
<建設・採掘の職業の雇用関連指標の推移(常用・除くパート)>
<建設・採掘の職業の雇用関連指標の前年同月比(常用・除くパート)>
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ヒューマンタッチ総研 Monthly Report (2020年5月)
https://kensetsutenshokunavi.jp/souken/report/202005.php
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