ダッシングディバインターナショナル株式会社
経営戦略室 販売促進担当
西岡 佑希子
1991年兵庫県生まれ。3歳からクラシックバレエを習う。小2のとき、劇団四季の『キャッツ』を観たことで、ミュージカル俳優を志す。児童劇団からスカウトを受け入団。舞台を中心に広告や映画出演など芸能活動と学業を両立する。高校卒業後、全日制のミュージカルスクールで4年間学んだ後、スクールの講師として幼児クラスを担当しながら、鍛錬を積む。25歳のとき、劇団四季研究生オーディションに合格。58期研究生として1年間の研究生生活を経て、準劇団員として入団。舞台出演に向け稽古を積むが、契約解除となり退団。その後は、結婚式の司会や派遣社員として働きながら、以前から興味があった、ネイルスクールに通い、JNECネイリスト技能検定1級、JNAジェルネイル技能検定上級を取得。転職活動を経て、2025年1月、ダッシングディバインターナショナル株式会社に入社。また、2025年春に結婚をし、夫と二人で暮らしている。

SELFingシート
「なりたい自分」を明確にし、実現するために必要な事項を可視化するSELFingのサポートツール。中心に人生目標や「なりたい自分」の姿を書き、実現するために必要な要素を周囲の8マスに、人生を構成する8大分野「健康」「仕事」「経済」「家庭」「社会」「人格」「学習」「遊び」に分けて書きこむフレームワーク。自らデザインする人生の“設計図”としてヒューマングループ各社で導入されている。
なりたい自分像
「とことんやり切った」からこそ
20年の思いに終止符をつけられた
幸せが実感できる生き方がしたい。「SELFingシート」の人生目標に書きました。死ぬときに後悔はしたくない。そのためには、やると決めたらとことんやり切る。これが私の人生の指針なんだと再認識しました。
小2のとき、劇団四季の『キャッツ』を観て「あの舞台に立つ」と決意して以来、その夢を叶えるために生きてきました。小中高と児童劇団に所属し、週4日、往復2時間かけてレッスンに通い、長期休みは舞台公演に出演するなど、学業と芸能活動を両立。高校卒業後は、ミュージカルスクールに通ったり、スクール講師をしたりと研鑽を積みながら、劇団四季のオーディションを受け続けました。合格したのは、応募できる年齢ギリギリの25歳のとき。7回目の挑戦でした。その後、1年の研究生生活を経て、試験に合格し、準劇団員として劇団四季に入団しました。ようやく掴んだチャンスでした。
しかし、舞台に向けての稽古では、得意分野以外でも求められるレベルが高く、ダメ出しが続きました。ついていけない…。その想いを払拭するため、1人稽古場にこもり8時間自主練をする日もありました。悪戦苦闘する日々のなか、劇団からから告げられたのは、契約打ち切りというものでした。
ここが限界。そう認めるのは容易ではありませんでしたが、どこかすっきりとした気持ちもありました。憧れだった劇団四季に身を置き、一流と言われる人たちにもまれながら、やれることはすべてやり切った。20年間抱き続けた「『キャッツ』の舞台に立つ」という自分に課した強い想いから解放された瞬間でもありました。そのためか、退団後、ミュージカル俳優として他の舞台をめざそうとは思いませんでした。「やり切った」と思えたから、小さい頃からの夢に区切りをつけることができました。
なりたい自分になる「仕事」の位置付け
“努力”は自分に戻ってくる
人とかかわり、知識を拡げ、人間力を高める
長い間、私にとって仕事とは、舞台に立つこと。その夢を追うためフリーターで良かった。それが、劇団四季を退団後、仕事は、収入を得るためのものに変わりました。自分ができる得意なことからと、結婚式の司会を始めましたが、2年後、コロナ禍になり仕事はゼロに…。生活を立て直すため地元に戻り、派遣の仕事につきました。しかし、「この先の生活を安定させるためには何をすべきか」という不安が常につきまとっていました。また、以前のように、目標を立ててやり切ろうとする充実感もありませんでした。
正社員をめざしたくても、私の最終学歴は高卒で一般的な社会人経験も浅く、書類選考で落とされることが多くありました。だったら、資格をとろうと、派遣で働きながら、以前から好きだったネイルのスクールに通うことにしました。好きだから始めたネイルの勉強でしたが、努力した分は自分に返ってくるという感覚を思い出させてくれました。練習すればするほど上達するし、ポイントを押さえて勉強することで資格試験もスムーズにでき、JNECネイリスト技能検定1級、JNAジェルネイル技能検定上級を取得することができました。資格と、派遣社員として美容関連の広告宣伝業務に携わっていた経験を活かし、安心して長期的に働けることを条件に転職活動に本腰を入れ、2025年1月に、ダッシングディバインターナショナル株式会社に正社員として就職しました。
これからの「なりたい自分」とは?
仕事も家庭もとことんやり切ることで
人生を豊かにしていきたい
現在は販売促進担当として、ネイルサロン「ダッシングディバ」の集客施策を行う仕事に就いています。上司から、業務に関して手取り足取り教えてもらう中、自分の無知さも痛感しています。企業とは、利益とは、経済とはといった社会の根本的な知識を広げ、マーケティングには常に“最適解”が求められますが、絶対的な正解のない世界は、一生かけて探求する価値があるのではないかと感じ、とことんやり切ってみようと意欲が沸いています。
ここまでさまざまな挫折を経験してきました。それでも前向きでいられたのは、芸能という特殊な世界にいたことが影響しているのかもしれません。芸能の世界は、選考基準が必ずしも明確ではないため、小さい頃から理不尽な思いもしてきました。そんなとき、落ち込んでいても次に進めません。そうではなく、不安が消えるまで努力を重ね、オーディションに臨む。人事を尽くして天命を待つしかないのです。その繰り返しの中、どのような状況でも、逃げの姿勢ではなく、挑む姿勢で向き合う胆力がついたのだと思います。
今年は、転職だけでなく、もう一つ、結婚という大きな変化もありました。これまでずっと、1人でがむしゃらに戦ってきたけれど、ようやく安心できる場所を得られたと感じています。40歳まであと7年。今後、家族の形が変わっていくかもしれませんが、家庭のこともしっかり、仕事とのバランスをとりながら、とことんやり切っていきたいと思っています。
最近思うんです。私は、人生において満足し切ることはないのではないかと。きっと、この先も、幸せを感じるためにとことんやり切ることを求め続けていくのだと思います。そして、このことが人間力を高め、人生を豊かにしてくれていくのだと信じています。
※2025年6月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・部署名等は取材時のものとなります。