空中で華麗に舞うことが気持ちの解放であり<br>息子へのメッセージ
My SELFing is _ .

空中で華麗に舞うことが気持ちの解放であり
息子へのメッセージ

ヒューマンライフケア株式会社
ヒューマンライフケアしらひげ乃湯 所長

鵜澤 麻実

1987年生まれ。東京都墨田区出身。トリマー兼ペットショップの管理者として働く。出産を機に退職。母が自転車事故に遭い、後遺症が残ったことで介護職に興味を持ち、2016年、デイサービス施設である「ヒューマンライフケアしらひげ乃湯」に就職。トリミングサロンでの管理経験をかわれ、入社1年目で所長となる。2021年、6メートルの高さから吊された二本の布を使い、空中で演技するエアリアル・ティシューと出会い、練習開始。2019年、会社の健康診断で婦人科系の病気が見つかり、2022年に手術。術後、練習を再開し、2025年4月、マレーシアで行われた国際大会「Viva Circus Festival Awards」において、初出場ながら、エアリアルシルクのアマチュア部門で優勝。シングルマザーとして、中学1年生の息子を育てている。

SELFingシート

「なりたい自分」を明確にし、実現するために必要な事項を可視化するSELFingのサポートツール。中心に人生目標や「なりたい自分」の姿を書き、実現するために必要な要素を周囲の8マスに、人生を構成する8大分野「健康」「仕事」「経済」「家庭」「社会」「人格」「学習」「遊び」に分けて書きこむフレームワーク。自らデザインする人生の“設計図”としてヒューマングループ各社で導入されている。

なりたい自分像

人生を楽しむ姿を息子に見せたい

SELFingシートを作成してみて、改めて息子への思いが強く出ているなと感じました。真ん中のマスの「人生目標」は、『人生は一度きり。楽しんで人生を全うすること』そして、『その姿を息子に見せ、息子自身も、やりたいことを諦めずに生きてほしいこと』です。

私が今、挑戦を楽しんでいるもの、それは、エアリアルです。
4年前、息子が通うアクロバット教室の隅っこで天井から吊されている布に魅せられて始めたエアリアル。最初は登ることもままならず、味わったことのない筋肉痛に苦しみました。痛みが努力の結果に思え、楽しくなってきた頃、婦人科系の病気が悪化し、手術をすることになりました。最悪の状況を想像し、エンディングノートを作成するほど、精神的にも追い詰められましたが、手術は成功し、早々に練習を再開。できることを徐々に増やしながら、体力を戻す日々でした。

そして手術から約2年後の2025年4月、マレーシアで行われた国際大会に参加し、アマチュア部門で優勝しました。初めての海外での大会。私にとって、とても大きな挑戦でした。大会では3分の演技を披露。会場中の視線が私に集まります。技を決めると歓声があがり、演技が終わってもしばらく拍手が鳴りやまず歓声に沸く状況が、とても気持ちが良かったです。とはいえ、優勝するとは夢にも思っておらず、授賞式で金メダルを首にかけられたときは、思わず涙が溢れていました。
術後の回復期のとき、また、大会出場が決まったあとの練習もきつかった。でも、やると決めたら最後までやる。その思いで続けてきた先に、こんなに嬉しい結果が待っていたんです。授賞式が終わるとすぐに、息子に連絡をしました。「すごいじゃん!」と言ってくれた息子に「金メダル獲ったから、あなたも頑張ってね」と伝えることができました。

なりたい自分になる「仕事」の位置付け

仕事のストレスはエアリアルが解放

デイサービスの介護施設で働き始めて10年になります。利用者様には、認知症の方が多く、ご家族が苦しんでいる様子も目の当たりにします。だからこそ、ご本人のケアだけでなく、ご家族にも寄り添った介護をめざしています。
管理者としての目標は、もちろん「黒字安定」。それともうひとつ、管理者になって以来、若い人が介護の仕事を続けたいと思う環境づくりを心がけてきました。私は前職での店舗運営の経験を評価され、入社1年目、国家資格「介護福祉士」の勉強中に管理者の役割を任せられました。経験や努力がきちんと評価され、役割やポジションが広がっていく。資格を取得し、キャリアパスを思い描く若いスタッフのサポートをすることで、離職を減らしたいと願っています。

介護は、やりがいがあるだけではありません。自分の気持ちを押し殺さなくてはいけない場面もあり、ストレスを溜めてしまいがちです。仕事を続けるには、ストレスの解消方法を見つけることも大切。私にとっては、エアリアルがそうであるように思います。布をまとい、空中で舞っていると、感情が解き放たれていくように感じるんです。エアリアルがあるからこそ、オンとオフの切り替えができ、調和がとれた生活になっているのだと思います。

これからの「なりたい自分」とは?

“人生は一度きり”を胸に息子と頑張りたい

3年前の手術の際、「今は死ねない」と思いました。息子を育て切っていないし、やりたいことだってある。そのときに「人生は一度きり」という言葉が、自分の中に強く刻まれました。これからも、興味のあることには、躊躇せず、挑戦していきたいです。エアリアルの練習を通して、どんなに苦手な技でも、時間をかければできるようになるし、頑張った分だけ綺麗に舞うことができることを経験してきたので。

40歳まであと2年です。息子は高校受験の年。親として、選択肢を示すことはできても、人生のレールを敷くのは息子自身。そのレールの上をしっかりと歩んでいけるよう、どっしりと構えて見守ることができる親でありたい。そのためには気持ちに余裕のある40歳でありたいです。今もこれからも、SELFingシートの真ん中、「人生目標」に書いたことが、私と息子の2人の目標です。それぞれのやりたいことを、共に頑張っていきたいと思っています。

※2025年5月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・部署名等は取材時のものとなります。