ヒューマンタッチ

ヒューマンタッチ総研独自分析 建設業関連6業種における 2021年3月期第2四半期決算から見る市場動向

ヒューマンホールディングス株式会社の事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:髙本和幸、以下「ヒューマンタッチ」)が運営するヒューマンタッチ総研は、総合工事業(ゼネコン)、土木工事業、電気設備工事業、管工事業、プラント・エンジニアリング業、住宅・不動産業の6業種に分けて、2021年3月期第2四半期決算から見る市場動向をまとめました。

本件のポイント

  • 6業種別主要上場企業各10社の2021年3月期第2四半期決算から見る建設市場動向をまとめた
  • 第1四半期に続いて土木工事業と電気設備工事業が比較的好調
  • 総合工事業、管工事業、プラント・エンジニアリング業、住宅・不動産業では厳しい決算結果

<総合工事業>
9社が減収、7社が減収減益、10社合計では純利益がやや改善するも厳しい決算が続く

売上高は9社が前年同四半期を下回り、うち7社が減収減益であり、増益となったのは鹿島建設とフジタ(単体)の2社のみとなっています(図表①)。10社合計を見ると、売上高は前年同四半期比11.9%減(第1四半期は11.8%減)、純利益は同21.8%減(第1四半期は29.8%減)となっており、純利益についてはやや改善していますが依然として厳しい決算が続いています。
2021年3月期の通期業績予想については鹿島建設が売上高を上方修正、大成建設が売上高と純利益を上方修正、前田建設工業が売上高を下方修正、純利益を上方修正、戸田建設が売上高、純利益ともに下方修正しています。

【図表① 総合工事業主要10社の2021年3月期第2四半期決算(連結)の実績】

出所:各社の2021年3月期第2四半期決算短信より作成
*フジタについては非上場のため同社より取得した決算資料より作成

<土木工事業>
4社が増収、2社が増収増益、10社合計ではわずかながら減収減益に転じた

売上高は4社が前年同四半期を上回り、NIPPOとピーエス三菱の2社が増収増益となっています(図表②)。10社合計を見ると、売上高は前年同四半期比1.9%減(第1四半期は2.8%増)、純利益が同1.0%減(第1四半期は7.8%増)と減収減益に転じました。純利益では道路舗装業界トップのNIPPOが前年同四半期比74.7%増と大幅な増加となっており、業界をけん引しています。
2021年3月期の通期業績予想についても10社ともに変更はなく、10社合計の減収減益幅も小さいことから、ほぼ業績予想の範囲内の決算結果であると考えられます。

【図表② 土木工事業主要10社の2021年3月期第2四半期(連結)の実績】

出所:各社の2021年3月期第2四半期決算短信より作成

<電気設備工事業>
7社が減収、6社が減収減益、10社合計でも減収減益となるも利益面ではわずかに改善

売上高は7社が前年同四半期を下回り、6社が減収減益となっています(図表③)。10社合計では、売上高は前年同四半期比3.2%減(第1四半期は0.2%増)、純利益が同5.0%減(第1四半期は7.6%減)と減収減益となりましたが、利益面ではやや改善されています。
2021年3月期の通期業績予想は中電工が純利益を上方修正しています。

【図表③ 電気設備工事業主要10社の2021年3月期第2四半期(連結)の実績】

出所:各社の2021年3月期第2四半期決算短信より作成

<管工事業>
8社が減収、6社が減収減益、10社合計でも落ち込み幅が拡大

売上高は8社が前年同四半期を下回り、6社が減収減益となっています(図表④)。10社合計を見ると、売上高は前年同四半期比16.2%減(第1四半期は13.4%減)、純利益が同35.6%減(第1四半期は33.7%減)となっており、第2四半期に入って売上、利益ともに落ち込み幅が大きくなっており、厳しい決算となりました。
2021年3月期の通期業績予想はダイダンが純利益を上方修正、日比谷総合設備が売上、純利益を上方修正しています。

【図表④ 管工事業主要10社の2021年3月期第2四半期(連結)の実績】

出所:各社の2021年3月期第2四半期決算短信より作成

<プラント・エンジニアリング業>
7社が減収、5社が減収減益、10社合計では第1四半期よりやや改善するも厳しい決算が続く

売上高は7社が前年同四半期を下回り、うち5社が減収減益となっています(図表⑤)。10社合計の売上高は前年同四半期比3.8%減(第1四半期は8.9%減)、純利益は同17.3%減(第1四半期は21.6%減)となっており、厳しいながらも売上高、純利益ともに第1四半期よりもやや改善されてはいますが依然として厳しい決算となっています。
2021年3月期の通期業績予想は、栗田工業が売上、純利益を上方修正、レイズネクストとメタウォーターが純利益を上方修正しています。

【図表⑤ プラント・エンジニアリング業主要10社の2021年3月期第2四半期(連結)の実績】

出所:各社の2021年3月期第2四半期決算短信より作成

<住宅・不動産業>
8社が減収、6社が減収減益、10社合計では第1四半期よりも売上高、純利益ともに悪化

売上高は8社が前年同四半期を下回り、うち6社が減収減益となっています(図表⑥)。10社合計の売上高は前年同四半期比6.5%減(第1四半期は5.2%減)、純利益は同26.5%減(第1四半期は18.3%減)となっており、第1四半期よりも売上高、純利益ともに悪化しています。

【図表⑥ 住宅・不動産業主要10社の2021年3月期第2四半期(連結)の実績】

出所:各社の2021年3月期第2四半期決算短信より作成

ヒューマンタッチ総研所長・髙本和幸(ヒューマンタッチ代表取締役)のコメント

2021年3月期第2四半期決算については、第1四半期に続いて土木工事業と電気設備工事業が比較的好調であり、総合工事業、管工事業、プラント・エンジニアリング業、住宅・不動産業では厳しい決算結果が続いています。
その背景には、国土強靭化計画等の公共事業を中心に土木投資は堅調ですが、東京オリンピック・パラリンピック関連需要が終息して民間建設需要が端境期を迎えていることがあると考えられます。
国土交通省から発表されている「令和2年度(2020年度)建設投資見通し」を見ると、2020年度は民間の建築投資が8.1%減と大幅に落ち込み、民間の土木投資も2.6%減と前年度割れになっていますが、政府土木投資は3.1%増、政府建築投資は3.0%増となっており、民間投資の落ち込みを公共事業が中心となった政府投資が底支えする構造になっています。
今後についても、新型コロナウイルス感染症拡大が終息する見通しが立たない現状を考えると、民間建設需要の回復の足取りは重くなりそうであり、総合工事業や管工事業の経営環境は厳しい状況が続きそうです。
また、国や地方自治体の財政状況も更に逼迫してくる危険性もあり、土木関連の業界についても予断を許さない状況だと考えられ、国土交通省の来年度予算の動向も注視していくことが必要です。

ヒューマンタッチ総研とは

「ヒューマンタッチ総研」は、ヒューマンタッチ株式会社が運営する、建設業界に関する各種データを基に将来の姿を予測する研究所です。
「ヒューマンタッチ総研」は、建設業界の人材動向を中心に市場動向、未来予測などの調査・分析を行い、 独自調査レポート や定期的なマンスリーレポート、そして建設ICTの最新ソリューションを紹介する各種セミナーの企画・運営など、建設業界に関わる様々な情報発信をしています。
建設業界の人材不足を改善するために、 ICT導入による「生産性向上」や魅力ある業界への転換としての「働き方改革」を推奨し、建設業界に関わる各種データや業界を超えた様々な情報の調査・分析から、建設業界の明るい未来につながる発信をしてまいります。

●ヒューマンタッチ総研WEBサイト:https://kensetsutenshokunavi.jp/souken/

ヒューマングループについて

 ヒューマングループは、教育事業を中核に、人材、介護、保育、美容、スポーツ、ITと多岐にわたる事業を展開しています。1985年の創業以来「為世為人(いせいいじん)」を経営理念に掲げ、教育格差、労働力不足、高齢化社会、待機児童問題など、時代とともに変化するさまざまな社会課題の解決に取り組み、独自のビジネスモデルを展開してきました。
人と社会に向き合い続けてきたヒューマングループは、いま世界全体で達成すべき目標として掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組んでいきます。SDGsへの貢献を通じて、「為世為人」の実現を加速させ、より良い社会づくりに貢献していきます。

●ヒューマンホールディングスWEBサイト:https://www.athuman.com/

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ヒューマンタッチ株式会社 ヒューマンタッチ総研担当
T E L  :03-6872-1027
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