ヒューマンホールディングス株式会社の事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:髙本和幸、以下「ヒューマンタッチ」)が運営するヒューマンタッチ総研は、総合工事業(ゼネコン)、土木工事業、電気設備工事業、管工事業、プラント・エンジニアリング業、住宅建設業の6業種に分けて、2020年3月期第1四半期決算から見る市場動向をまとめました。対象企業は各業種の主要企業10社、計60社です。
【本件のポイント】 ・建設関連の6業種別主要上場企業各10社、計60社について決算をまとめた。 ・プラント・エンジニアリング業を除く5業種が増収増益、全体としては概ね好調な結果となる。 ・一方、住宅建設業は6社が減益になるなど厳しい決算となり、今後の動向の注視が必要。 |
<全体概況>
■5業種が増収増益、建設関連業界は好調な決算結果となる
2020年3月期の第1四半期決算(連結)の各業種主要10社の実績を合計すると、プラント・エンジニアリング業以外の5業種は増収増益となり、全体として比較的好調な決算になっています(図表①)。また、純利益については6業種ともに増加となっており、堅調な市場環境を背景にすべての業種で利益が拡大しています。一方、減益や赤字決算など厳しい決算の企業もあり、今後も動向を注視する必要があるとも言えます。
【図表① 各業種主要10社の2020年3月期第1四半期決算(連結)の実績合計】
以下、業種別に主要10社の決算結果を見ていきます。
<総合工事業(ゼネコン)>
■10社中7社が増収増益で、売上・利益ともに好調
堅調な民間設備投資及び公共投資を背景に10社中7社が増収増益となり、全体として好調な決算となっています(図表②)。
大手ゼネコン4社では、大林組、清水建設、大成建設が増収増益となっており、豊富な手持ち工事を順調に消化して利益を確保しています。鹿島建設は増収ながら大幅な減益となっていますが、今後の手持ち工事の進捗によって改善される見込みとしており、ゼネコン業界全体として、売上・利益ともに好調な決算であると言えます。
そのような中、長谷工コーポレーションのみが、マンション工事の施工量減少と完成工事総利益率の低下により減収減益となっています。
【図表② ゼネコン主要10社の2020年3月期の第1四半期決算(連結)の実績】
出所:各社の2020年3月期第1四半期決算短信より作成
<土木工事業>
■10社中5社が増収増益、利益の改善も進む
道路舗装大手のNIPPO、前田道路、日本道路の3社が増収増益となるなど、10社中5社が増収増益となり、好調な決算になっています。利益面を見ると8社が増益であり、前年同四半期は赤字であったピーエス三菱と東亜道路工業が黒字に転換するなど、収益面での改善が進んでいます。前田道路、日本道路、世紀東急工業での特別利益の計上の影響もあり、10社合計の純利益は前年同期比で258.7%と、大幅に増加しています。
【図表③ 土木工事業主要10社の2020年3月期の第1四半期決算(連結)の実績】
出所:各社の2020年3月期第1四半期決算短信より作成
<電気設備工事業>
■10社中5社が増収増益、業界全体として好調
コムシスホールディングス、きんでん、九電工、トーエネック、中電工の5社が増収増益となりました(図表④)。業界トップの関電工は減収増益ではありますが、売上高はほぼ横ばいです。主要10社合計においても増収増益となっており、業界全体として好調な決算だと言えそうです。赤字決算となったのはユアテックと日本電設工業の2社であり、ともに前年同四半期も赤字決算でした。
【図表④ 電気設備工事業主要10社の2020年3月期の第1四半期決算(連結)の実績】
出所:各社の2020年3月期第1四半期決算短信より作成
<管工事業>
■10社中6社が増収増益であり、業界全体として好調な決算
高砂熱学工業、三機工業、ダイダン、新日本空調、テクノ菱和、ヤマトの6社が増収増益となりました(図表⑤)。主要10社合計でも増収増益となっており、業界全体として好調な決算となっています。業界大手の中では大気社が、海外での完成工事高の減少により減収減益となっています。また、赤字決算となったのは、日比谷総合設備と大成温調で、両社ともに減収減益となっています。三機工業と新日本空調は、前年同四半期は赤字決算でしたが当期は黒字に転換しています。
【図表⑤ 管工事業主要10社の2020年3月期の第1四半期決算(連結)の実績】
出所:各社の2020年3月期第1四半期決算短信より作成
<プラント・エンジニアリング業>
■10社中4社が増収増益、利益面の改善が進む
栗田工業、メタウォーター、太平電業、富士古河E&Cの4社が増収増益となっています(図表⑥)。前年同四半期は大幅な赤字であった千代田化工建設は黒字を確保。赤字のメタウォーターも、前年同四半期より赤字額が減少するなど、6社が増益となっており、利益面の改善が進んでいます。
日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの大手3社の売上高が大幅に減少した影響で、主要10社合計では減収増益となっていますが、全体的に見ると好調な決算と言えそうです。
【図表⑥ プラント・エンジニアリング業主要10社の2020年3月期の第1四半期決算(連結)実績】
出所:各社の2020年3月期第1四半期決算短信より作成
<住宅建設業>
■増収増益は10社中3社にとどまる 6社が減益であり厳しい決算結果となる
大和ハウス工業、ミサワホーム、ミサワホーム中国の3社が増収増益となりました(図表⑦)。一方、飯田グループホールディングス、フジ住宅、サンヨーホームズ、細田工務店の4社が減収減益になるなど、6社は減益となっています。
ミサワホームとミサワホーム中国は増益ながら赤字決算となり、サンヨーホームズ、細田工務店、アールシーコアの3社は減益で赤字決算となっています。主要10社の合計においては、業界トップの大和ハウス工業が好調である影響を受けて増収増益となっていますが、業界全体としては厳しい決算になっています。
【図表⑦ 住宅建設業主要10社の2020年3月期の第1四半期決算(連結)実績】
出所:各社の2020年3月期第1四半期決算短信より作成
■ヒューマンタッチ総研所長・髙本和幸(ヒューマンタッチ代表取締役)のコメント
2020年3月期第1四半期の主要建設関連企業の決算結果を見ると、ゼネコンでは10社中7社が増収増益となり、好調さが目立ちます。また、土木工事業と電気整備工事業ではそれぞれ5社が、管工事業にでは6社が増収増益であり、いずれの業種も、堅調な公共投資と民間の設備投資、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事等を背景に好調な決算になっています。
人手不足による工事の進捗遅れといった弊害や労務費の高騰による利益の圧迫といった事態は今のところ見られていないようではありますが、建設技術者の有効求人倍率は2019年6月で6.33倍(前年同月比+0.72ポイント)と高止まりしており、今後も建設技術者の確保は大きな課題になると考えられます。
一方、住宅建設業においては6社が減益になるなど厳しい決算になっており、今後の業績動向を注視することが必要だと考えられます。
ヒューマンタッチ株式会社 会社概要 ——————————
●代表者:代表取締役 髙本 和幸
●所在地:東京都新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア1F
●資本金:1億円
●コーポレートサイトURL:https://human-touch.jp/
●ヒューマンタッチ総研サイトURL:https://kensetsutenshokunavi.jp/souken/