ヒューマンホールディングス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:佐藤朋也)は、ホームページ(https://www.athuman.com/)で、「【インタビュー】学び働く人」、「海外で学ぶ学生たち」などを掲載しています。これは、“学んだことを活かして、働く” という当社ビジネスモデルに沿った形で、活躍している人たちを紹介するものです。
今回は、CAD/BIMオペレーターとしてスキルアップ図るスタッフを紹介します。
現場からのコメント
BIMの人材教育と就職支援に向け、講座開設に立ち会った
ヒューマンリソシア株式会社 増子 洋行(マシコ ヒロユキ)さん
2013年以降、建設系企業からBIM人材の問合せが多くなり、ヒューマンリソシア株式会社では、BIMのソフトベンダーと協力し、BIMセミナーを実施してきました。しかし、企業の人材需要に対して、人材確保が追いつかない状況が続いています。また、スタッフの方からも「BIMを学んでみたい」との声が多数あったため、スキルアップできる場を提供し始めました。現在、ヒューマングループ内で教育事業を運営しているヒューマンアカデミーと協力し、育成型モデルのノウハウを活かしてBIMの教育と就職支援に本格的に取り組んでいます。
BIMのメリットはなんといっても、「生産性の向上」です。3Dによる可視化により、建設関係者全員と情報共有ができるため、「コミュニケーションロスの改善」、「設計図書の整合性のミスの削減」に効果があり、大幅な生産性の向上につながっています。人材不足が顕著な建設業界においてBIMは、人材不足解消の有効な手段の一つです。
このことから、ますます多くの企業でBIMオペレーターの需要拡大が予測されます。ヒューマンリソシアは、今後、1人でも多くの方にBIMを学んでいただき、就業いただけるよう体制を整えます。
今回は、この講座を受けてステップアップを図るスタッフの一人を紹介します。
◆建築士としての未来に想いを馳せ、最先端技術「BIM」にチャレンジ!
【 CAD/BIMオペレーター ヒューマンリソシア派遣スタッフ プロフィール】
1970年生まれ。大学卒業後、設計事務所に勤務。一級建築士の資格取得後、施工会社で派遣スタッフとして勤めていたが、親族が経営する設計事務所に移り、サポート役を務める。スキルアップのため、ヒューマンリソシアの「BIMハンズオントレーニング※」を受講し、将来、そのスキルを活かしたいと、派遣スタッフとして総合設計事務所で働いている。2児の母でもある。
※BIMハンズオントレーニング
ヒューマンリソシア株式会社が開講しているBIMのトレーニング講座。実務ですぐに使える知識やスキルを学ぶことができる。
巨匠の仕事に触れ、建築の魅力に気付く
子どもの頃から絵が好きだった彼女は、高校で進路を決める際、海外ではアート系に分類される建築学科に進学。大学で学ぶうちに建築への関心も膨らんでいった。また、巨匠といわれる建築家の事務所で、アルバイトとして働くことができたことが、貴重な経験となった。
「著名な建築家の事務所で、アルバイトをすることは難しいのですが、当時ご縁があって、模型づくりのスタッフとして呼んでいただいたんです。プロが作る前段階の模型作りをしていましたが、ウキウキするような楽しさがありました」。
そして、巨匠の仕事ぶりや、一流事務所の仕事のやり方を、間近で見ることで刺激を受け、大学卒業後に建築の世界へと進む。
設計業界の変革をキャッチし、次のステージへ
設計事務所に就職した彼女は、集合住宅や病院と住宅の併用住宅を担当した。最初から最後まで手がけたものが形になり、使われることに喜びを感じていた。しかし、3年半ほど経った頃、一級建築士の資格取得に集中するため、一年ほど仕事を休み、ここ10年は子育てとの両立もあり、親族が経営する設計事務所で、サポート業務を中心に仕事を続けてきた。
BIMへの関心が高まったのは、5年ほど前に、東南アジアの現状を知ってからだ。現地のスタッフが、BIMを使いこなしている事実に衝撃を受け、二次元から三次元に移行していることを実感した。「BIMを使うことが当たり前になる時代が来ると感じたので、早く取り入れたいと思ったんです」との言葉どおり、次のステージを目指した。
改めて感じたBIMの可能性
先進技術に触れるため、新たな仕事先を探そうとヒューマンリソシアを訪れた彼女は、偶然、「BIMハンズオントレーニング」の開講ニュースを知り、4日間のプログラムを受けて、一連の流れを学んだ。「世界シェアNo.1のオートデスク社のものを使っての研修で、先生がBIMに関するエキスパートだったこともあり、非常にテンポが良く、分かりやすくて理解が深まりました」と話す。
BIMは、ファミリと呼ばれる、壁、屋根、窓、ドアなどのパーツをつくり、それをコンピュータで積み上げていくが、このファミリを作るのが難しい。しかし、講座ではあらかじめファミリが作られていたため、BIMの基本機能をスムーズに体感することができた。また、BIMは材料などの情報をもとに、仕上げ表などが瞬時に作成できる。そのため、設計にとどまらず、建設時の情報も取ることができるので、汎用性が高いと彼女は改めて感じた。
将来、国を超えて色々な人と仕事がしたい
ヒューマンリソシアの派遣スタッフとして働く彼女は、総合設計事務所に席を置き、5年後の国際イベントに向けた大きなプロジェクトに携わっている。チームの一員として、図面を書くなど、二次元での設計業務が中心だ。
職場では、模型を作る前に、当たりを付けるツールとしてBIMを活用している。「アイデアを分かりやすいかたちで検討できるので、チーム全体のモチベーションも上がります」との感想だ。
大規模なプロジェクトが目白押しの職場では、スタッフのグローバル化も進んでいて、英語での会話が飛び交う。そんな環境に刺激されて、彼女も「英語のスキルを磨きたい」と思うようになった。また将来、「日本というフィールドだけではなく、色々な国の人たちと仕事ができたら…」という想いを抱くようになっている。
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◆人手不足を抱える「建設人材」の育成に向けたヒューマンリソシアの取り組み
■BIM人材ニーズの高まり
McGraw Hill Construction(MHC)の調査によると、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)は、急速に世界中に普及しています。長年、BIMを使用してきた、カナダ、フランス、ドイツ、英国、米国での伸びも顕著ですが、最近、採用を開始したオーストラリア、ブラジル、日本、韓国、ニュージーランドで、特に驚異的な伸びを見せています。
2015年までの2年で、業務の30%以上にBIMを活用する割合を調査した結果では、現在の平均39%から69%に急上昇すると予測。特にブラジルは、3倍近くになる見込みとなっています。
【BIM実装レベルが高い建設会社の割合(国別)】
■建設人材の不足
厚生労働省・国土交通省の発表によると、技能労働者などの建設人材は、全国的に不足しています。これは、「近年の建設投資の急激な減少」「受注競争の激化」などにより、「就労環境の悪化」「就業者の高齢化」「若年入職者の減少」といった問題を招いたことが原因と考えられています。こうした状況は、「復興需要などの建設投資の増加」により、さらに深刻化しており、このままでは、産業の存続に不可欠な技能の承継も困難になりかねない状況のため、両省は連携して「人材確保」「人材育成」「人材移動の円滑化」の対策に乗り出しています。
【技能労働者などの減少】
■世界で進むBIM活用
MHCの調査結果では、BIMへの関与が深まれば深まるほど、ビジネス上のメリットが大きく、投資収益率が高くなっていることが分かっています。そのため、世界中の建設会社では、「BIMトレーニング」「BIMソフトウェアへの投資」を重要視しています。
特に日本は、ドイツ・フランスと並んで、BIMに対する投資収益率を最も強く感じており、97%という高い指標を示しています。日本における評価内容は、「複数グループでのコミュニケーション・理解の改善62%」「コスト削減55%」「プロセス成果の改善45%」の順に高く、特に「コスト削減」は、すべての国や地域の平均29%に対し、非常に高い数字です。つまり、利益増加が得られることが、利用拡大につながっているといえます。
【建設会社が認識するBIMのROI(国別)】
*エンゲージメント:使用年数、技術レベル、使用頻度を示す指標
BIMの普及が進むにつれ、国、地域、建設会社などの間で、ビジネスメリットに大きな差が生まれていますが、「過失の減少」「やり直し作業の減少」の2つは、すべての国や地域で高い指標を保っています。これらは、すぐさま利益に反映される項目であることから、BIMがもたらす重要なメリットと認識されています。ほかにも「プロジェクト期間の短縮」「安全性の向上」などがあげられ、BIMは幅広い種類のメリットをもたらしています。
ヒューマンリソシア 「BIMハンズオントレーニング」
BIMに触ったことがない初心者でも受けることができるカリキュラム。4日間で、基本概念か
ら、企業で必要とされる知識・技術を身に付けることができる。
近年、建設業界では、スーパーゼネコンや設計事務所を中心に、BIMの導入が進んでいるため、ヒューマンリソシアでは、建設業界のニーズに対応するとともに、建設業界での仕事を希望するスタッフや、スキルアップを目指すスタッフをサポートするために、「BIMハンズオントレーニング」を実施している。トレーニングソフトは、Revit、ArchiCAD、GLOOBEの3種類で、月によって変更している。
BIMは、建築物を3次元で表現できるだけでなく、構造・意匠・価格などの様々な情報を付加することができるため、設計~施行~維持管理といった、あらゆるプロセスで活用することができる。また、意匠、色彩、素材などの質感まで一目瞭然であるため、プレゼンテーションツールやコミュニケーションツールとして有用である。