【美容】指先から笑顔に。“介護施設での出張ネイル”で、地域にぬくもりを。
~これが私の挑戦

【美容】指先から笑顔に。“介護施設での出張ネイル”で、地域にぬくもりを。<br>~これが私の挑戦

ダッシングディバインターナショナル株式会社 
代表取締役(プレジデント)

池田 麻季(Maki Ikeda)

大学卒業後、一般事務職を経てネイル業界へ。個人ネイルサロンのネイリスト、ネイルスクール講師(JNA本部認定講師)としてキャリアを積み、2010年ダッシングディバインターナショナル株式会社入社。汐留店店長を経験し、エリアマネージャーとして店舗運営に携わると同時に人材開発課にて、スタッフ教育と採用を担当。2015年4月ダッシングディバインターナショナル株式会社代表取締役に就任。

私が取り組むSDGs

  • 3すべての人に健康と福祉を

    目標3

    すべての人に健康と福祉を

  • 5ジェンダー平等を実現しよう

    目標5

    ジェンダー平等を実現しよう

現在29店舗のネイルサロンの運営を手掛けるダッシングディバインターナショナルでは、「地域社会への貢献」として、一つの取り組みをスタートしました。それが、介護施設での出張ネイルサービスです。グループ会社のヒューマンライフケアが運営するデイサービスなどの介護施設を訪問し、ご利用者様に対しネイル施術やハンドマッサージなどを行なっています。※店舗数は2021年9月現在

向き合う社会課題

現在、私はダッシングディバインターナショナルの「社長」というポジションに就いていますが、もともとは現場のネイリストからスタートしました。自身の絵のセンスや手先の器用さを活かして、目の前の人に喜んでいただける仕事をしたいという思いから、ネイルの業界に入りました。そこから、一人のネイリストとして技術を磨き、その後店長やスタッフ教育、カレッジ講師などを任されるようになり、今に至ります。

これまでのキャリアを振り返ってみると、立場が変わる中で手掛ける業務も変化してきましたが、私が大事にしてきた“想い”はずっと同じです。それは、一人でも多くのお客様に喜んでもらうこと。手先に彩りを与え、幸せな気持ちをお届けしたいという気持ちを持ち続けています。

一人でも多くのお客様に――。そう考え、自分たちが運営する店舗からもう少し視野を広げたとき、見えてきたのは「介護施設を利用される方々への出張ネイルサービス」でした。グループ会社のヒューマンライフケアでは介護施設の運営を手掛けていて、施設を利用されている方々の多くは、日常的にネイルサロンなど美容サロンに訪れることは難しいと聞きます。だからこそ、私たちが美しい指先を楽しむ時間を作ることで、少しでも幸せな気持ちになっていただけたらと思うようになりました。少子高齢化が加速する現代社会において、今後さらに介護を必要とする人は増えていきます。そうした中で、誰もがいきいきとした日々を送ることができれば、ご本人はもちろん周囲にも笑顔が広がっていき、社会にも良い影響を与えることができると思うのです。

解決に向けた取り組み

出張ネイルサービスの取り組みは、ヒューマンライフケアと連携を取りながら実施しています。毎回、4~5人のネイリストとスタッフの教育を担う「ダッシングディバ ネイルカレッジ」の講師でチームを組み、介護施設を訪問。現場では、ヒューマンライフケアのスタッフに協力いただきながら、ご利用者様の身体的な状態にあわせて、ネイルやハンドマッサージを行なっています。

出張ネイルサービスはまだあまり一般的なものではありませんから、「恥ずかしいから」とおっしゃられる方、ネイルが初めてで戸惑う方、病気の関係で指がまっすぐ伸びず遠慮される方もいらっしゃいます。

ですが、「どの色がお好きですか?」「季節を感じられる色にしてみましょうか」「ハンドマッサージから受けてみませんか?」といったネイリストとの会話を通じて、少しずつ心を開いてくださいます。そして、最後には美しく彩られた指先をゆっくり眺め、「ありがとう」「気に入ったわ」と、とても嬉しそうな表情を見せてくださるのです。

確かな手応え、見えてきた成果

出張ネイルサービスの活動を共に支えてくださる介護現場のスタッフの方からも、「参加されたご利用者様の表情がどんどん明るくなっていくのが分かる」「一対一コミュニケーションをじっくり取ってもらえる機会を、ご利用者様も楽しまれている」という声をいただきます。時には、ご利用者様が喜んでいる姿を見ることができて、現場スタッフの方々も元気をもらえると話していただけたこともありました。

そして、私はこの取り組みは「介護施設のご利用者様」「介護施設の現場スタッフ」だけではなく、「ネイリスト」にとっても大きな意味を持つ経験だと考えています。なぜかというと、“ネイルを通じてお客様に喜んでいただく”ことの喜びや感動、仕事のやりがいを心から感じられる時間になるからです。好きで始めたはずの仕事も、忙しい日々を送っていると、どうしても“仕事に就いたときの純粋な気持ち”を忘れてしまうものなのです。だからこそ、これからネイリストとしての一歩を踏み出す新人にも、キャリアを積んだベテランにも、この出張ネイルサービスを体験してほしい。「お預かりしている手の先にお客様の笑顔があることを忘れないでほしい」と願っているのです。

私が目指す未来

出張ネイルサービスは、社会貢献性の高い、意義ある取り組みですから今後も積極的に活動を進めていきたいと考えています。しかし、新型コロナウイルス拡大の影響もあって、残念ながら、ここ1~2年ほどは積極的に取り組むことができていないのが現状です。今の時代にあった形で、私たちができる「社会貢献」について考えていきたいと思っています。

また、もう一つ私が取り組んでいきたいことに、“女性スタッフの可能性を広げること”があります。ダッシングディバインターナショナルで働く社員のほとんどは女性です。彼女たちを見ていると本当に頑張っていると思うのです。技術を磨くため一生懸命努力をしていたり、子育てと両立しながら働いていたり…。ですから、彼女たちの“人生を豊かにするキャリア”について考えていくことが、私のミッションでもあります。女性が長く働ける環境をつくること。これは、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」にもつながってくると考えているんです。

※2021年9月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものです。