周りの人を笑顔にしたい。
私が笑顔になれる理由でもあるから。

ご利用者さまからの「ありがとう」の言葉が何よりも嬉しい

私は、デイサービスセンターの施設長として、施設全体の運営管理を行っています。具体的には、ご利用者さまが気持ちよく、楽しい時間を過ごしていただけるようレクリエーションやイベントを企画したり、ケアマネージャーへの状況報告を行ったり、介護計画書を見直したり、運営経費を計算したり……。仕事は多岐にわたります。

それから施設の運営管理だけでなく、現場での業務も行っています。入浴や食事の介助サービスなど、ご利用者さまと接する時間をたくさん取ることを大切にしていて。たとえ管理者という立場になっても、私はやっぱりご利用者さまの近くで笑顔を見ることが大好きなんですよね。一人ひとりのご利用者さまの変化をキャッチアップして、適切なケアや対応を積み重ねていくことで、「ありがとう」の言葉をいただける。たった一言ですが、私にとってはとても嬉しい言葉で、この言葉をいただくために日々の仕事に向き合っているのだと感じますね。

ご主人を亡くされて落ち込んでいたご利用者さまの表情に変化

先日、ご利用者さまを紹介してくださるケアマネージャーから相談をいただきました。最近ご主人を亡くされて、落ち込んでしまっているという87歳の方。ふさぎ込んでしまって、どこにも出かけず……という状態が続いているとのことでした。

最初にいらっしゃったときは、本当に固い表情をされていたのですが、周りのご利用者さまと話をしていく中で、少しずつ表情が和らいでいって。同じような体験をされている方もいらっしゃるので、ご自身の話をしたり、相手の方の話を聞いたりする中で気持ちが楽になったようでした。その後、笑顔を見せてくださるようになったときは、本当に嬉しかったですね。ここに来てくれたから元気になったのかな、とお役に立てた実感を持つことができました。

さらに相談をいただいたケアマネージャーの方からも、雰囲気が全く違う、と驚かれて。堀さんのおかげですね、ありがとうございました、と感謝していただけたときは、この仕事をしていてよかった、と喜びを感じました。

誰かを変えようとするのではなく、個人をしっかり受けとめる

嬉しい出来事もたくさんありますが、私自身のスキル不足もあって、難しいと感じることも多くあります。人間同士が向き合っているわけですから、当然ながら、マニュアル通りでうまくいくことばかりではないんですよね。もちろん基礎的なことはありますが、それだけではありません。たとえば入浴ひとつとっても、洗い方、洗う場所……それぞれの方にあった対応が必要になってくる。そのご利用者さまにとって一番快適な対応を見つけていくことが正解であり、大事なことだと日々感じています。

そんなとき、私が大事にしている考え方は、「その方を変えようとするのではなく、個人をしっかり受けとめること」です。自分の考えが全てではなく、いろんな考えを持った人がいるのだな、と意識的に柔らかく受けとめるようにしています。そうすることで、新しい考え方や価値観が自分の中にも持てるように思うんです。

ご利用者さまも施設スタッフも、居心地のよい場所を作りたい

施設長として、私が目指しているのは“居心地よく、楽しく過ごせる場所”を作ること。それは、ご利用者さまだけでなく、一緒に働くスタッフに対しても同じ気持ちでいます。

もし現場のスタッフの仕事があふれているのであれば私が率先してヘルプしていきますし、何かトラブルがあったらお互いが納得するまでしっかりと丁寧に聞いてあげたいと思う。誤解を恐れずにいうなら、私の中に、他の人が大変な思いをするならば私が率先してやってあげたい、という気持ちがある。何もこれは自分を犠牲にしているというわけではなくて、純粋に“私がやりたいこと”なんですよね。周りの人が笑顔になってくれることが、私の喜びでもあり、私が笑顔になれる理由でもあるんです。

これからも、私たちが運営するデイサービスセンターが、社会から必要とされる有意義な場所になるようたくさんの工夫を積み重ねていきたい。ご利用者さまが自分らしく楽しく年を重ねていけるサポートができたら、と思います。そして、これからは、一緒に働くスタッフへのフォローや人材育成にも力を入れていきたいと考えています。最高のケアチームを作りたいですね。そして、ご利用者さまにも、仲間のスタッフも、そして私自身にとっても価値ある空間にしていきたいと思います。