My Story 02
My Story 02

変化を求め、好奇心が国境を越えた

スペイン、オーストリア、日本の三カ国でエンジニアとして腕を磨いてきたホセ・カルロス・ヤネスニエトさん。これまで3つの国々で、自らをアップデートし続けてきた彼が日本で見つけた幸せとは。パートナーのタイスさんと歩んできたこれまでに迫る。

学生時代に出会って以来、
ふたりは10年来のパートナー。
「故郷バルセロナは東京に負けないくらい
素晴らしい街」とホセさん。
結婚式は初めて移り住んだウィーンで。
幼いころから日本のアニメに親しんできた。
今もマンガが大好きだ。
近所のカフェでマスターと。
少しずつこの街に友人が増えてきた。
これからも日本で穏やかな暮らしを送りたいと語る。

「新しい言葉や技術を学ぶことが、大好きなんです」。ホセさんはそう言って目を輝かせた。その好奇心が、国境を飛び越えさせた。大学卒業後、母国スペインでエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた後、ドイツ語を学ぶために移り住んだオーストリアでは、ヘルスケア分野のソフトウェア開発に携わる。「まったく未経験の分野だったので、とても刺激的でした」。

ホセさんにとって、変化とは喜びそのものだ。ちょうどこの頃、学生時代からのパートナーであるタイスさんと入籍。公私ともに満ち足りたオーストリアでの日々は6年間にも及んだ。ときを経るとともに、彼の本能は次なる刺激を求めるようになっていった。そんな矢先に出会ったのが、機械学習と深層学習だ。

「これは世界を変えるテクノロジーになる」。エンジニアとしての直感だった。オンライン教材で学ぶだけでは飽き足らず、この分野でキャリアを重ねたいと願うようになった。ところが当時のオーストリアでは希望を叶えられる職場は見つからなかった。ここでターニングポイントとなったのが「日本で暮らせたらいいね」というタイスさんからの何気ない一言。趣味の海外旅行を通じて、東京や広島、奈良などを訪れて以来、ふたりはすっかり日本の文化や自然に魅せられていた。「日本企業のテクノロジーは、世界トップレベル。スペイン、オーストリアの次は日本だと確信しました」。

日本で働きだすまでには、わずか半年。現在は望んでいたフィールドで音声認識技術などの研究開発に取り組む。「いつかクルマの自動運転技術にも携わりたい」と意欲を燃やす彼は、常にこのテクノロジーの最新動向に目を光らせている。近い将来、日本でリーダーとしてプロジェクトを率いるために、ビジネスマナーの習得や、日本語能力の向上にも余念がない。「人々の暮らしをガラリと変えるようなインパクトのある仕事を手がけたいですね」。

優しい笑顔で夢を語りながらも、「ワークライフバランスも同じくらい大切にしたい」とはにかむのも彼らしさだ。その言葉通り、休日はタイスさんと多摩川のほとりを散歩したり、お弁当をつくって公園でピクニックをしたり、自然のなかで穏やかなひとときを過ごす。「情熱を注げる仕事と、家族との暮らし。どちらも僕にはかけがえのないものです」。さまざまな国での経験を経てきたからこそわかる自分らしい生き方。彼は、今、この生き方を心から愛している。

撮影協力:RiceGrain CAFÉ