ヒューマンビジネスイノベーション

社会人教育 2016/11/14 【学び働く人】

ー 政治にも経営の感覚を ー
MBAで体系化された知識・経験を生かし社会問題の解決に挑む

環境副大臣 関芳弘さん

環境副大臣 関芳弘さん

Profile

関芳弘さん(51歳)
1965年徳島県生まれ。関西学院大学経済学部卒業。在学中(4回生時)に「松下政経塾」に合格するも、89年に住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年9月に衆議院議員に初当選。経験を生かし、経済分野、財務金融分野に力を注ぐ。副幹事長、経済産業大臣政務官などを歴任し、2016年から環境副大臣。地球温暖化対策、自然環境の保全、東日本大震災の復旧・復興への取組みに尽力している。

50年先、100年先の子どもたちが、安心してこの地球で暮らせるように―。私たちの社会や経済の仕組みを、環境に配慮した持続可能な形にシフトしていくという課題に、MBAで培った知識や経験を活かして取り組む、関芳弘・環境副大臣。
「政治を通して社会の発展に寄与したい」そう熱く語る関氏は、その手腕を政治の世界でどう役立てているのか。

政治家を目指すきっかけは〝身近な存在〟だった坂本龍馬

環境副大臣 関芳弘さん

徳島県生まれで、子どもの頃は、隣の高知県の海によく遊びに行っていました。海辺には、坂本龍馬や中岡慎太郎など幕末の偉人の大きな像が立っていて、政治的な手腕を発揮して世の中を動かした人だという話を聞いて育ちました。今振り返ると、身近にそういう人たちを目にしていたことが、政治家を志すきっかけだったのかもしれません。 大学に入ると、政治や社会問題についての関心は高まり、政治の世界を目指す気持ちはいっそう強くなりました。

世の中には、法律と社会の実態が一致していないところがいっぱいあるなと感じていたからです。もちろんそれは、社会が発展していっている証拠ではあります。しかしそれによって恩恵を受ける人ばかりではなく、苦しむ人も出てきます。例えば、公害の問題がそう。経済が成長する一方で、環境汚染や公害が発生すれば、人々に健康被害をもたらし、苦しむ人も出てきます。しかし、その人たちを救う法律の整備は、当時、必ずしも十分とは言えるものではありませんでした。そんな状況を見て、問題を未然に防ぐため、事前に十分なチェックをして対策を講じたり、社会の実情に合った法整備をしたり、自分が少しでも貢献できたらと考えるようになっていました。

早く社会に出たい、世の中をもっと知りたいという気持ちが強くなっていたので、大学4回生の時に、松下政経塾を受けて合格したのですが、そちらには進まず、さまざまな業種・企業と接点を持つことができる銀行に就職しました。その後17年間、たくさんの企業とお取引をさせていただくなかで、経済の知恵や経営のノウハウを実体験で学ばせていただきました。

経営学を真髄まで学び、国のために活かしたい。50歳目前にウェールズ大学院へ。

環境副大臣 関芳弘さん

実は、MBAを取ろうと決めたのは、落選していた時です。銀行での仕事は、経営の知識を身につけるという意味で、非常に勉強になりました。身につけた知識を国家の経営にも活かしたい、そのためには、経営学を深く、徹底的に真髄のところまで学びたいと考え、MBAの取得を決めました。学校は、世界的なネットワークを持つところへと決めていました。とはいえ、海外に留学することはできませんでしたから、世界各国に分校を置いていて、日本でも学ぶことができる英国国立ウェールズ大学大学院は理想的な学校でした。授業では、英語の資料を扱うこともありましたが、日本語で授業を受けることが出来たので、より理解を深めることができたと考えています。クラスは、同期のメンバーに恵まれました。公認会計士や医師、薬剤師、大学の教授など、その世界の第一線で働いているプロフェッショナルな人たちがいて、忙しい時間をぬって彼らとディスカッションできたことは、私にとって貴重な経験となりました。

授業で学んだプレゼンテーションの手法は、今、国会の答弁の際に活用しています。どれだけ準備をして回答しても、質問者に理解、納得してもらえるとは限りません。授業で体系的に学び、頭の中で整理できるようになったことで、人に論理的に説明できるようになったと感じています。事務所のメンバーも含め、みな私の話が理解しやすくなったと感じているのではないでしょうか。

安倍総理に怒られても貫いた「2足のわらじ」

環境副大臣 関芳弘さん

実は受講中、もっとも苦労したのは、ちょうど最後のテストを受ける時。選挙と重なってしまったのです。選挙期間中は後援会の方々と一緒に選挙運動をするのですが、内緒でテストを受けに行っている事がありました。後援会からは、「どこに行っているんだ」と聞かれるのですが、「テストに行っています」とは言えずに、「急に他の所を回らなくてはいけなくなって・・・」などといい訳しながら勉強していました。

選挙に当選してからも通っていたので、「勉強に時間を割くヒマはないだろう」「そんなことやっている国会議員、世の中に一人もいない」と、安倍総理にも怒られました。でも、途中で投げ出したくはなかったですし、最後までやり通したかったので。修士論文のテーマは、小泉総理の「郵政民営化におけるリーダーシップ」で、結果的には、政治に関する自分自身の勉強も進みましたし、決して楽ではありませんでしたが、非常に良かったと思っています。MBAを取得したのは2015年、第3次安倍内閣で経済産業大臣政務官の時でした。

MBAを目指す人にアドバイス

環境副大臣 関芳弘さん

大学院で学ぶなら、MBAが一番いいですよと言いたいですね。
社会人として組織の中で生きていく上で、MBAという経営学を通じて、組織の作り方や組織運営の仕方を学ぶことは、非常にプラスになると思います。意外とそれがわかっていなくて、成功していない団体・組織がたくさんあるのではないでしょうか。国内の企業に目を向けると、素晴らしい技術や特許をたくさん持っているのに、活かせていない。その技術や特許を社会に広めて、ビジネスとして成功するような組織を作らなくてはいけないのに、研究者は研究や発明をするだけになってしまっています。

そういう点で、見習いたいのはドイツです。人口は日本の2/3、GDPは3/4くらいなのですが、特許や眠れる技術を商品化する力が強く、優良企業といわれる会社が日本の8倍くらいあります。日本より小さい国に、なぜそのような力があるのかと言えば、やはり組織の使い方が上手いのだと感じています。

また、人的ネットワークが広がることも魅力のひとつです。先日、フランス•パリのOECD環境大臣会合に行ってました。世界各国の大臣や閣僚級の方々は、大体MBAや修士号・博士号を取得しているのですが、私がイギリスのMBAを取得しているということを知って、スムーズに交渉に入ることができました。ほかにも、ウェールズ大学院を出ているということで、イギリス大使館のレセプションに招待され、経済・インフラストラクチャー大臣と懇談する機会をいただいたり、いろいろ面白いつながりが増えてきています。将来的には、ウェールズ大学院の世界的なネットワークを活かして、政治・経済・文化など、皆で協力しながら、様々な分野で活躍できる体制を作っていきたいと思っています。

※2016年10月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。肩書き・役職等は取材時のものとなります。

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